客室乗務員が重要視している30秒間とは何?

フライト中の機内で、ひっきりなしにポーンと鳴るサインの音。飛行機が嫌いという人の中には、あれが気になって仕方がないという方がいます。なぜあんなにしょっちゅう鳴るのですか、と思うそうです。

シートベルト着用のサインが点灯するときと消えるときのほか、乗客が乗務員を呼び出すとき、離れた場所にいる乗務員どうしが連絡をとり合うときにも鳴ります。

あまりにも頻繁に鳴るので、サインの音を聞くたびに、なにが起きたのだろうと思ってしまうそうです。気にしなくても大丈夫なのですが、ふだん聞きなれないので、耳につくのかもしれません。

たまたま客室乗務員が通路を小走りに通りすぎると「何かのトラブルが起こったのではないか」と勘繰り、たまたま客室乗務員の笑顔が真顔に変わったのを見かけると「不測の事態が起こったのではないか」と深読みしてみたり。何を見ても「なにか起きたのかも」と思ってしまうそうです。

そういう人が、なにかの機会に客室乗務員が「サイレント・サーテイ・セコンド(STS=sirent thirty seconds)」に入ったところを見かけたら、ちょっとびっくりしてしまうかもしれません。

事故が最も起こりやすいといわれている離着陸時の「魔の11分間」には、客室乗務員には「サイレント・サーテイ・セコンド」が義務づけられています。

サイレント・サーテイ・セコンドとは「沈黙の30秒間」、その名のとおり、30秒間だけ、着席したまま沈黙することを言います。はたで見ているぶんには、客室乗務員が急に黙って目を閉じて、座っているだけに見えます。

ですが、実は目を閉じて休んでいるわけではなく「緊急事態が起きたとき、どのように行動すればよいか」の手順を思い出して、頭の中にあるイメージだけで、行動の手順のおさらいをしているのです。要するに、頭の中でだけの避難訓練、避難訓練のイメージトレーニングというわけです。

緊急時には、めったにない経験で機内の乗客が動揺するでしょう。声をかけたりして、乗客に落ち着いてもらわなければなりません。緊急着陸を余儀なくされる場合は、乗客に衝撃防止態勢のとり方を説明してから、もちろん自分もその姿勢をとります。着陸後は機外の状況を確認し、脱出の準備を整え、安全に乗客を誘導することも必要です。

こうした一連の作業を、毎離着陸時に30秒間、目を閉じてイメージするのです。そのトレーニングをしておくと、いざ現実にそういう事態が起きたとき、慌てたり混乱したりせず、冷静に行動できます。

乗客の中には飛行機がはじめての人、飛行機が怖い人、飛行機に慣れている人、さまざまな人が入り混じっています。客室乗務員はそういった人たちの間で、フライト中の乗客の安全や安心を確保し、笑顔で親しみやすい対応を期待され、実はかなり重い品物を移動する仕事もある。そもそも、やる仕事がたくさんあり、時間的にとても忙しいそうです。

客室乗務員の仕事は華やかにすましているだけ、と思われがちですが、実は見かけと違ってたいへんな重労働、きちんとした自己管理ができる優秀な女性でないと、とても勤まらない仕事だそうです。

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