旅客機が雷に打たれたらどうなるの?

旅客機にも雷が落ちることはあります。ただし、「落雷」とはいわず、「被雷」といいます。

地上と違って、上空では雷は上から落ちてくるとはかぎりません。雷雲が下にあれば機体の下から、雷雲が横にあれば機体の横から来ます。そのため「雷が落ちる」という表現は使わず、「雷を受ける」というのです。

では、旅客機が被雷すると、機体はどうなるのでしょうか。

まず、一番に考えられるのは通信機器の故障です。通信機器が障害を受けて、地上管制官との情報交換が困難になります。また、計器類にトラブルが起こることもあり、計器類が正常な値を示さなくなると、自動操縦などに支障が起こります。

このほか、被雷した衝撃で機体の一部が破損したり、被雷した場所の外板にへこみができたりもあります。

もっとも、これらの問題は、安定した飛行が揺るがされるほどの大問題になることはありません。旅客機の場合、一時的に通信機器や計器類の一部に支障をきたしても、他の機器で補えるような安全設計がなされています。

雷があたったために墜落した旅客機の話を聞いたことがないのは、雷にそなえた仕組みがきちんとできているからです。

当然、乗客の身の安全も十分保証されています。

雷の勢いは非常に強いので、被雷の瞬間に機体が揺れるなどのショックはあるかもしれませんが、旅客機に乗っていた乗客が雷に感電するなどということはありえません。

しかし、いくら安全上心配ない範囲だとはいっても、被雷すれば機体がなんらかのダメージを受け、パイロットの操縦に制限が加わり、乗客が不安に陥るのは事実です。ですから、パイロットはできるだけ雷を避けて飛行をしています。

それに、機体には、雷を受けにくくし、かつ受けても機体のダメージを最小限に抑えられるような放電装置があります。

これは「静電放電装置」(スタティック・ディスチャージャー)と呼ばれる細い針のようなもので、主翼と尾翼に20~30本(ジャンボ機は53本も)とりつけられています。針の太さは約1cm、長さは約10cmあります。

そうでなくても、飛行中の機体は空気の摩擦を受けていて、この摩擦のために静電気が起こりやすくなっています。

機体に静電気が溜まると、雷を受けやすくなるだけでなく、通信装置に雑音が入りやすくなるなどの問題もあるため、これを防ぐために、静電放電装置がついています。

静電気は機体の尖った部分から抜けていく傾向があるので、細い針状の装置をつけて、そこから放電させているのです。

ただし、静電気があまりにもたくさん溜まってしまうと、静電放電装置だけでは放電しきれず、アンテナのような突起物からも放電されるようになります。この状態で被雷するとアンテナが故障します。

なお、着陸後の機体の静電気は、地面に放電されるしくみになっていて、大型旅客機の場合は、アースとなる金属ワィヤが車輪のなかに組みこまれていますから、着陸直前・直後などに機体が雷を受けると、車輪がパンクすることがあります。

着陸後、被雷したという報告を受けた整備土は、その機体を特に入念にチェックし、雷があたった部位と、出ていった部位を特定します。故障や不具合について調べて、必要な整備や修理をするためです。

雷があたった部分の外板は月のクレーターのように無数の丸いへこみができ、出ていった部分は溶けた金属の粒がたくさんついているので、すぐにわかります。

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