最新の旅客機の健康診断機器は?

旅客機も空港も年々ハイテク化され、進化しています。ジャンボ機をハイテク化することによって、整備も様変わりし、昔とはずいぶんようすが変わってきました。旅客機に取り付けられている装置が新しく開発されているのと同じで、整備に使われるさまざまな検査装置、検査方法、これらも新しい技術が開発されているからです。

ATE(オートマチック・テスト・エクイップメント=自動試験装置)は、旅客機に搭載されているシステムを、自動的に故障診断するものです。巨大でチェック項目の多いジャンボ機には、不可欠の装置です。ジャンボ機のオートパイロットだけでも、500~600項目の診断が必要ですから、これを人間だけで点検するのはたいへんでした。

しかし、コンピュータ制御を利用することによって、必要な人員数を減らしたり、負担を減らしたりできます。作業時間が従来の3分の1から10分の1になり、旅客機の設計段階から点検のことを考え、導入が進んでいます。

BIT(ビルドイン・テスト・エクイップメント=バイト)は、計器類、電気装置、ハイテク装備品などに組みこまれている装置です。スイッチ一つでテスト装置が作動し、それぞれの計器に不具合がないか調べることができます。以前は「計器が正常かどうか」しか判断できませんでしたが、最近では異常の原因も調べられるようになりました。

SOAP(スぺクトロメトリック・オイル・アナリシス・プログラム=ソープ)は、機体に装着したままで、エンジンの状態を知ることができます。エンジンの潤滑油に含まれる微量の金属元素を発光させると、その光のスペクトルと光量で、金属元素の量を分析します。それによって、エンジンのベアリングや歯車の状態を検査できるのです。これでもし、規定を外れていたら、エンジンを取り外し、本格的な検査に回すことになります。

NDI(ノンディストラクティブ・インスペクション=非破壊検査)は、機体や主翼のような大きな部品から、細かい部品まで、どれも分解したり壊したりせずに、状態を検査できる方法です。胴体や主翼の構造を検査する「X線検査」欠陥の位置や大きさなどを調べる「超音波検査」これは、人間の健康診断でやっているのと同じようなものです。

他にも、コバルトやイリジウム192を使った「ラジオアイソトープ検査」、磁化させた金属粉を利用した「磁粉探傷検査」、機体の外板の亀裂を調べるのに使われる「渦電流検査」、エンジンの内部の部品の異常を監視するのに使う「ボアスコープ検査」、これら全てがNDI検査に含まれます。

関連記事

ページ上部へ戻る