コックピットの窓はこんなに頑丈にできている

客室の窓は、上下にストリンガー(縦通材)、左右にフレーム(胴体の丸い形を保持する骨)にはさまれた「小窓」です。

見た目はガラスそっくりですが、ガラスではありません。一般のガラスに比べて割れにくい、アクリル系樹脂製なのです。重さがガラスの半分程度、曇り止めの空間をはさんで、3枚のパネルがはめこまれています。

旅客機の場合、機内を与圧しているため、機の内外で圧力差が生じ、窓にも相当の負担がかかります。

窓にはパネル1枚で、充分その与圧に耐えられる強度のものが使われていますから、理屈としては1枚あれば飛ぶことができるわけですが、実際は3枚重ねてとりつけられています。もしなんらかのトラブルで1枚割れても、残りの2枚でカバーできるようになっています。

それに、旅客機の窓は4隅の角が丸くカーブしています。これは角張った形状にすると、角だけに圧力が集中して、無理な負担がかかってしまうため、わざと角をとっているのです。

また、窓の下に小さな穴が開いているのをご存じでしょうか。これは、与圧によって内側のパネルだけに過剰な圧力がかかることがないよう、小穴を通して機内と窓の内部とのあいだを空気が行き来できるようにしてあるのです。

このように客席の窓には多くの工夫がされていますが、コックピットの窓もよりいっそう頑丈につくられています。

コックピットの窓には何種類かあり、まず操縦席前方の中央2つの窓は「風防」(ウインド・シールド)と呼ばれ、最も頑強なつくりになっています。

ワイパーでこすられたり、強風がまともにぶつかってくる一番外側は、巡航速度で1.8kgの鳥がぶつかってきても破損しない強化ガラスを張ってあります。その内側には防氷のためのヒーターが埋め込まれています。さらに内側はビニール層→ストレッチアクリル→ビニール層→ストレッチアクリルと、4層構造。

そして、機種によっては、一番内側にもう1枚保護ガラスをはめこんであり、全部で5~6層構造、厚さは約40mmにもなるのです。

ウインド・シールドの脇にある窓(コックピット・ウインドウ)は、2枚のストレッチアクリルと1枚のビニール層の3層構造になっています。

ボーイング「737」「767」「777」型機や、「DC-10」型機の場合、このコックピット・ウインドウがスライド式に開閉できます。これだと、コックピットのなかから手を出してウインド・シ―ルドの表面を拭くことができてしまいます。政府専用機などが地上滑走中に国旗を掲げる場合も、ここを開けて国旗を立てているのです。そのほか、パイロットの非常脱出ロとしても使われます。

ただし、コックピット・ウインドウが開くのは例外的です。ウインド・シールドや客室の窓は開きませんし、ジャンボ機ボーイング747だと、コックピット・ウインドウも開きません。

それに、いくら開閉可能だといっても、飛行中にコックピット・ウインドウを開けておくことはできません。開けるのは機体が地上にいるときにかぎられています。

旅客機が飛ぶ上空1万mはマイナス50度Cの世界ですし、地上を走る自動車のように、窓を開けて外のさわやかな風を楽しむというわけにはいかないのです。

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