ジャンボジェット機の重量はどれくらいある?

一般の人からよく受ける、旅客機に関する質問に、「なぜ、あんな鉄の塊が宙に浮くのか」というのがあります。しかし、断っておきますが、旅客機は「金属の塊」ではあっても、「鉄の塊」ではありません。実際、ジャンボ機(ボーイング747)の機体構造をみると、「鋼鉄」は全体の13%にすぎません。もっと新しい型の「777」型機での構成割合はさらに減って11%となっています。

旅客機の機体に使われている材料の内訳をみてみると、機体総重量の約70~80%がアルミニウム合金、15%前後が鋼鉄(ステンレス鋼)、残りの5~25%がチタン合金やプラスチック、複合材を含むその他の材料となっています。

このうち、機体の中心的な構成材料となるアルミニウム合金は、一般的には「ジュラルミン」と呼ばれています。ジュラルミンはアルミニウム95%、銅4%、マグネシウム0.5%、マンガン0.5%を基本組成とする合金で、軽量にして頑丈というのが最大の特徴。

最近は、マグネシウムの量を増やしたり、ケイ素や亜鉛を添加した新組成が開発され、ジュラルミンよりも強度のすぐれた「超ジュラルミン」「超々ジュラルミン」なども登場しており、これらは現在、大型旅客機の骨組みや外板に多用されています。

さらに、旅客機の高速化にともなって登場したのが、チタン合金です。超音速機として知られた「コンコルド」はマッハ2(音速の2倍)を超える速さを誇っていましたが、これくらいの速度になると、機体が空気との摩擦熱を発生させ、表面温度が摂氏200度Cにもなります。

200度Cを超えると、ジュラルミンの強度は急速に低下するため、これにまさる強度をもった金属が必要です。そして開発されたのが、チタン合金です。チタンはアルミニウムよりやや重いですが、強度はアルミニウムの6倍、鉄の2倍もあります。たとえば、マッハ3で飛行する超音速軍用機では総重量の93%をチタン合金が占めています。

ただし、近年は、こうした金属材料が使われる割合は減る傾向にあります。金属にかわって台頭してきたのがプラスチックや繊維材料など、異なる物質を組み合わせてつくられた「複合材料」(コンポジット・マテリアル)です。

その代表例「ガラス繊維強化プラスチック」(GFRP)は、ポリエステルやエポキシをグラスファイバー(ガラス繊維)で固めたもので、主翼部分や舵面、客室床面などに使用されています。また、弾力性と強度にすぐれたカーボン繊維とプラスチックを組み合わせた最新の複合材料「カーボン繊維強化プラスチック」(CFRP)は、ボーイング「777」型機においては水平尾翼、垂直尾翼をはじめ、広範囲に用いられています。

旅客機の燃料や乗員、機内サービス品等を含まない、機体そのものの重さのことを「自重」といいます。自重が最も重い旅客機は、ジャンボ機(ボーイング747-400)で183t弱。これに次いで、ボーイング「777-300」型機が約157t、さらにボーイング「777-200」型機が約138tとつづきます。

実際のフライトでは、これに燃料と乗客・貨物・乗員などを加え、ジャンボ機の場合なら、最大で390tくらいの重量になって飛び上がるのですから、「飛ぶしくみ」を発見した人がいかにすごいかがわかります。

これほど重い旅客機を宙に浮かせるなんて、航空力学の知識がなければ、想像もできないことです。

ところで、私たちはよく、旅客機に「あんなに重い」という形容詞をつけて語りますが、本当に旅客機は「そんなに重い」のでしょうか。たとえば、ジャンボ機の場合、重さは183tですが、全長は70.7m、全幅64.4m、垂直尾翼の頂点までの高さは地面から約19mもあります。重いのも確かですが、大きさも相当なものです。逆にいえば、大きいからそのぶん重量もあるといえます。

もし、実物のジャンボ機を全長1mくらいに縮小してみたら、どれくらいの重さになるでしょうか。この場合の縮尺率は70.7分の1となり、計算式は次のようになります。

18万3000kg(183t)÷(70.7×70.7×70.7)すると、この答えは・・・なんと、0.518kg、つまり518gになるのです。全長1mもある物体の重さが518g、1kgの半分ほどしかないということです。さらに、

これを全長10cmまで縮小すれば、重さは0.518gとなり、折り紙で作った紙飛行機よりも軽いという計算になります。あの巨体からは想像もできない軽さです。

では、あらためてお聞きしましょう。旅客機は重い?それとも軽い?あなたの判定は?

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