雨の日には大活躍!?旅客機のワイパーの謎と疑問

コックピットの窓を見ると、自動車のフロントガラスにあるのと同じような「ワイパー」が備えつけられているのをご存知でしょうか。もし、雨の日に空港を訪れる機会があったら、ぜひ見てほしいものです。空港内を移動する旅客機のコックピット前方にある2つの窓に1つずつあるはずです。そして、その動きをよく見ると、左右のワイパーが自動車のように、一緒に連動するのではなく、バラバラに動いているのに気がつくはずです。なぜなのでしょうか。

答えは簡単。自動車の場合、ドライバーは1人です。したがって、2本のワイパーを1人で一度に操作することになりますが、旅客機のパイロットは機長と副操縦士の2人おり、それぞれが1本ずつのワイパーを操作しているからです。機長の前にある窓のワイパーを動かすのは機長、副操縦士の前にある窓のワイパーを動かすのは副操縦士の役目なのです。ワイパーの動くスピードは2種類あり、それぞれ、適した速度を、機長と副操縦士、それぞれの判断で選択することになります。

しかし、このワイパーが使われるのはもっぱら地上走行にかぎられ、飛行中に使われることはまずありません。なぜなら、離陸直後や着陸直前の低空飛行状態でないかぎり、旅客機はいつも雲の上を飛んでいるからです。雲の下では雨が落ちてきますが、雲の上に出ればいつも快晴、というわけです。

そもそもコックピットの中央2枚の窓には、雨などの水滴をはじく特殊なコーティングが施されています。少々の雨ならば、この特殊コーティングの威力ではじき飛ばし、ワイパーがなくても十分な視界を確保することができるのです。

ですから、離着陸時に雨に悩まされることがあったとしても、旅客機がある程度の速度(時速200~250km)を出していれば、雨滴がじゃまになって前が見えないという心配はありません。また、この特殊コーティングは、窓に張りつく氷を溶かしたり、曇り止めの機能ももった「すぐれモノ」なのです。

しかし、装備が充実しているとはいえ、やはり雨の日のフライトには、細心の注意が必要です。たとえば、自動車と同じくブレーキの利きは晴天時よりも悪くなるため、滑走路における停止距離が長くなりやすい傾向があります。

そのため、着陸の際に、進入速度を通常よりも遅くし、接地の仕方やブレーキの操作も工夫し、制動距離を短くできるような配慮をするのです。雨の日だけ滑走路の長さを延ばす、というわけにはいかないので、旅客機をうまくコントロールできるかどうか、パイロットの腕が試されることになるのです。

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