航空機の生産ラインにロボットが進出

自動車の生産ラインでは既にロボットが主役となっていますが、航空機のパーツについては従来より日本人の熟練工の技術が欠かせず、まだまだロボット主流の世界ではありません。

しかしながら、近年の新興国からの航空機需要による増産の後押しを受け、三菱重工業は航空機の胴体を作る工程に初めてロボットを導入、川崎重工業もエンジン工場の一部を自動化。

将来的には、航空機の世界でもロボットによる製造が主役になる可能性がでてきました。

三菱重工は、広島市江波工場に新設するアメリカ・ボーイング社の次世代大型機777Xに使われる後部胴体の生産ラインにロボットを導入します。

ボーイング社は777Xの生産を2017年に開始、2020年には初号機の納入を予定していて、全日空やドイツのルフトハンザ航空など大手をはじめとして多くの航空会社が導入を決めています。

三菱重工が生産ラインに導入するロボットは、航空機の外側を覆う金属製パネルを運び、穴を開けてパネル同士をびょうでつなぎ合わせるとともに、仕上がりの検査もするといいます。

同社の生産ラインは2016年頃に完成する見通しとなっており、鯨井洋一副社長によれば「かなりの省力化が図れる」とのことです。

川崎重工業も、神戸市西神工場のエンジン部品の生産ラインを一部を自動化し、部品の精度や硬度を高めるための磨き上げや特殊加工をロボットが担っています。

同社もまたボーイング777Xの機体製造に参画しており、胴体の前部などの製造を担当する予定。そのため、愛知県の工場にも積極的にロボットを活用していく予定としています。

これまでは航空機の生産機数がそれほど多くなかったため、手工業で対応することができましたが、近年LCCの増加や新興国の経済成長に加え、先進国でも燃費の良い新型機への更新が進んでいるといいます。

日本航空機開発協会によれば、世界のジェット機の運航機数は今後20年間で倍増する見通し。

これに伴い、航空機メーカー各社は生産機数を増やす計画のため、胴体などを受け持つ日本のメーカーも増産を求められているということになります。

増産となるのはメーカーとしてもありがたい話である一方、技術的に担当できる熟練工を育てるのには当然ながら時間とお金がかかります。

三菱重工の宮永俊一社長は「日本の製造業が世界で競争力を持つには、ロボットを使った最先端の設備が必要だ」と語っています。

やはり生産量の増加に対応していくには機械化を推進することも必要な上、ロボット技術も手工業と引けを取らない精度まで進んできているということが伺えます。

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