地方空港の整備士さんにまで浸透しているJALのホスピタリティー

中国・上海の中国人現地スタッフが、上海を訪れたジャニーズの大野智さんの搭乗券を密かに撮影し、中国のツイッター的なSNS・ウェイボーにアップしてしまうという不祥事でミソをつけてしまったJALですが、いかに稲盛イズムが社内に浸透していようとも、外国人の現地スタッフにまで徹底させるのは難しいようです。

ただ、外国人スタッフにも頑張っている人はいて、昨年末行われたグランドスタッフのコンテストでは韓国の現地スタッフが優勝していることも付け加えねばフェアとはいえません。破綻以来JALのスタッフは地方空港に至るまで一丸となってがんばっていることは間違いなく、だからこそ破綻からのV字回復を成し遂げられたのでしょう。

世界的カフェチェーンのスターバックスには、接客マニュアルが存在せず、各スタッフが「ミッションステートメント」という企業理念に従って接客を行っていることは有名ですが、JALも「チャレンジJAL」という理念のもと、通り一遍のマニュアル的な対応をこなすだけではない、顧客の身になって寄り添う接客が高い評価を得ています。

JALの理念は、乗客と直接接するキャビンアテンダントやグランドスタッフのみならず、整備士にも行き渡っている様子。

四国の高松空港には、JALの整備士さんが手書きで作った飛行機豆知識のプリントが置いてあり、乗客の一人がそのプリントの画像をツイッターに上げたことで話題になりました。

 JALが経営再建のまっただ中だった2011年、ある整備士さんが乗客として飛行機に登場した時に、他の乗客が駐機場から滑走路へ向かう機内のエアコンが止まっているのを疑問に思っているような行動をしているのを見て、エンジンスタート中にエアコンが止まるのは当然という整備士としての知識も、一般乗客にとっては当然ではないのだと気づきました。

それをきっかけに、この整備士さんは独自に乗客に対して自分が知っている知識を伝えようと思い立ったとのこと。経営再建中につき、コストがかからない手書きのものをプリントして配布することにしたというあたり、なんとか会社と顧客に貢献し、自分たちの手で経営再建を成し遂げようという意気込みが伝わります。

内容については、どちらかというとマニアックなカルト知識に意識的に偏らせているそうです。これも、ちょっと調べればすぐわかるようなことより、整備のプロならではのより深い知識で読む人に楽しんでほしいという気づかい。今では飛行機に関する知識はネットでも調べられますが、プロから見たら間違っている情報も少なくないとのことで、現場のプロから正しい知識を教えてもらえるというのは、実のところお金を出してもなかなか体験できないことです。

『航空整備士のかなりマニアックな飛行機豆知識』と題するこのプリントは、高松空港の搭乗口付近にある専用ラックに置いてあり、乗客はだれでももらえます。高松空港に行く機会があったなら、この飛行機への愛にあふれたプリントを手にとってみてはどうでしょうか?

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