羽田の利便性向上をはばむ「お役所的」体質の問題点

海外旅行に行くという場合、首都圏に住んでいると選択肢は羽田空港1択になります。以前は遠い成田まで仕方なく行っていたという感じですが、羽田が再び国際空港になってからは成田には一度も行っていないという方も多いのではないでしょうか。

最近成田はLCC専用ターミナルを開設したりして、そちらの需要でわりと賑わっているとも聞きますが、普通のエコノミーの席でも窮屈だと感じている方にとっては、LCCに乗ることを考えることもないでしょうから、そちら関係でも成田を利用することはありません。

とりあえず首都圏在住者にとって羽田空港は便利。京急で国際線ターミナルの駅に着くとエレベーターですぐ出発ロビーに出られますし、帰国時も税関のチェックが終われば5分もかからず駅のホームに行けます(京急の場合駅で待たされる時間は長いのですが)。

出発時、事前チェックインをしてあって荷物を預けないのであれば、ホームからエレベーターで上って迷うことなく保安検査場まで即行けます。出国審査してからは多少歩きますが、成田のように広いわけではないのでそれほど時間をかけずに自分が乗る飛行機の搭乗口まで行くことができます。

この辺りがスムーズに設計されているので、羽田の国際線搭乗手続きの締め切りは出発の45分前となっています。ちなみに成田は1時間前です。

羽田はターミナル内にたくさんの電源コンセントが設置されているので、スマホやらタブレットの充電にも便利です。羽田はわりとwi-fiの環境が整っているので、搭乗までの暇な時間はネットにつないでつぶせます。

2014年にはフードコート「TOKYO SKY KITCHEN」がリニューアルオープン。寿司やラーメン屋やうどん屋やがあるので、何かを食べながら時間をつぶすというのもありでしょう。TOKYO SKY KITCHENは114番ゲートの横にあります。

とまあ、それなりに便利な羽田ですが、それでもやっぱりまだダメな点は多いもの。例えばあいかわらず早朝・深夜の空港までのアクセスが悪い。これは羽田空港自身の問題ではないのですが、横浜駅発の京急の羽田行きは、始発でも朝7時ごろ羽田発の便にはギリギリです。

羽田に深夜到着すると、京急もモノレールもバスも止まっているので空港で一夜を明かすか、タクシーで蒲田界隈まで行って、電車が走り出す時間までネットカフェあたりに潜り込むか、羽田は建前的には24時間空港なので、深夜にターミナル内にいても追い出されることはありませんが・・・。

とは言え空港のベンチで寝て過ごすというのもなかなかつらい話ではあります。

フードコートの店は24時間営業といいながら、深夜頃には掃除を理由に閉める店もあるようで、こちらのほうも24時間は建前です。早朝行くと開いてるのはコンビニぐらいのものです。せめて本屋ぐらいは開いててくれるといいと思うのですけど・・・

再国際化からこの問題があったにもかかわらず、国土交通省は2014年10月末にやっと羽田と都心・横浜を結ぶ深夜帯バスの運行実験を始めました。国土交通省はなぜか自慢げですが、5つの路線が深夜1時台に1日1往復のみ、しかも期限は2015年3月まで。多少助かる人もいるとは思いますが不便さはあまり変わらないような気も・・・。

国際線ターミナルの店が深夜帯から早朝まで閉まっているのも、その時間ま営業すると従業員が出勤・退勤できないからという事情もあるようで、24時間化するならするで、なぜそういうところまで考えてできないのでしょうか?

「木を見て森を見ず体質」とでも言うのか、日本の社会というのは一部だけ変更して全体の連携をまったく考えていないということが多すぎます。現代日本人の気質として、自分のことだけ考えて他人と協力しあっていこうという発想が出てこないというのが、問題の根本にあるような気がしてなりません。

保安検査場は早朝に行くとさほど混んでいないので、あまりストレスなく通り過ぎることができます。しかし、昼間の時間帯はわりと混み合うようです。あそこはそもそも入り口がちょっと狭いですから。この点だけは成田のほうがよくできていると思います。

最近の拡張工事で、新しい保安検査場もできたのですがあまり周知されていません。羽田空港を管理・運営しているのは東京国際空港ターミナル株式会社という民間会社ですが、国交省主導で作られた会社だけあってどうも変なところがお役所仕事的。

優先保安検査場はファーストクラス専用なのでビジネスクラスの客は使えず、ビジネスマンにも不評だそう。ビジネスクラスに乗る方の利便性は考えられていません。しかしビジネスクラスの搭乗者が専用の保安検査場に行ってくれれば、一般の検査場も少しは空いてエコノミークラスの乗客も助かると思うのですが・・・。

もう一つそういう不徹底というか、全体を考えない悪さが露呈しているのが、国際線ターミナルの出国エリア内にあるホテル「ロイヤルパークホテル ザ 羽田トランジット」の問題です。

トランジットホテルというのは、要するに日をまたいで乗り継ぎをする客がわざわざ入国審査→翌日の出国審査という手続きをとらずに空港内で宿泊できるというホテル。

アジア各国では、台湾の桃園国際空港にエバー航空が経営しているエバーグリーントランジットホテル。シンガポール・チャンギ国際空港のアンバサダー・トランジット・ホテルなどが有名。

しかし羽田にはそもそも日をまたいで乗り継ぎするような便がほとんどないのでトランジットホテルそのものの需要が少ないようです。それというのも、羽田からアメリカへ向けた便についての日米両政府間の話し合いが難航しいているせい。これもまたお役所仕事のなせるわざと言うべきでしょうか。

羽田がこれ以上便利になるためには「お役所的」なるものを一度一掃する必要があるのではないでしょうか?

関連記事

ページ上部へ戻る