拡張・改修工事で変わる空港の様相

知らない国に足を踏み入れたとき、匂いや空気の違いでその国の第一印象を体感する場所が空港ではないでしょうか。だからこそ、旅の始まりが素敵な空港だと、そのあとの旅も気持ち的に変わってきますし、空港側も、他国から来て頂いた旅行者に、まずはその国の玄関ともいえる場所で気持ちよく過ごしてもらいたいと、様々な工夫で迎えてくれます。

サービスが充実している空港、中心都市までのアクセスが便利な空港、空港の周辺施設が整っている空港など様々ですが、近年の傾向として、環境に配慮した空港が増えてきています。

例えば、シンガポールのチャンギ空港・第3ターミナルでは、日中は自然の光がたっぷりと降り注ぎ、夜になるとターミナル内の照明が外にあふれ出す設計になっています。そんなチャンギ空港の第3ターミナルは、夜、空から見ると、まるで温かい光のオブジェと見間違えるような、とても素敵な空港です。

屋根には919個の天窓があり、全てのガラスは特殊な樹脂を両側からガラスで挟んだ3層構造となっているため、万が一ガラスが割れるようなことがあっても、粉々になって下に落ちるという危険はありません。

また、空港内には8種類の植物があり、ツタ類の植物と滝で演出した、300mにも及ぶグリーンウォールと呼ばれる緑の壁が配置されています。また、やしの木やパームツリーなど、空港の利用者に南国の雰囲気が伝わるような植物を専門家が選定しており、室内でも枯れにくい、生命力の強いものが選ばれています。

このように「自然の中でゆったりとくつろげる空間」をイメージしながら建設された第3ターミナルですが、多くの緑を取り入れるには、できるだけ大きな空間が必要です。これは、省エネの取り組みに反することでもあり、例えば植物を育てるためには光が必要ですが、ターミナル内に直接太陽の光が入ると室内の気温が上がり、利用者が快適に感じるために冷房を強くする必要があります。

また、大きな空間を一定の温度に保つのも消費電力の観点から、エネルギーの無駄になります。そこで、グリーンウォールや熱帯性の植物にだけ太陽光が当たり、人が行き交うところには直射日光が当たらないように天窓が調節されています。

一方、大きな空間の冷房費を抑えるために、成層圏空調という方法で、大きな空間の人がいるところにだけ空調管理をしたり、自然の光をできるだけ利用し、ある一定の照度以下になるときにだけ、電灯がつくように設定したりなどの工夫がなされています。

他にも世界には環境に配慮した空港はたくさんあります。ギリシャ・アテネのエレフテリオス・ヴェニゼロス国際空港では、2011年7月から、ソーラーパークで太陽の光が活用されています。空港に設置されたものとしては世界でも最大の統合型太陽光発電システムだそうです。

2008年3月に完成したイギリス・ヒースロー空港のターミナル5も、壁と天井に3万平米の強化ガラスと5,500枚のガラスパネルが使用され、ターミナル全体に自然の光が差し込むように設計されています。また、敷地内に降った雨水の再利用で、水道水の70%を節約することに成功しました。さらに、ヒースローの既存熱・電力併用発電所からの廃熱を、地下のパイプラインを通じてT5に送り、その熱の再利用も行っているそうです。

それでは日本の空港ではどうでしょうか。

環境問題は21世紀の最大の課題の一つであり、国土交通省の航空局においても、「環境に優しい空港」を実現するためのガイドラインが出されました。

例えば成田空港では、航空機の補助動力装置の使用を制限するとともに、排ガスが出ない地上動力装置を利用できるように整備が進められています。また、中央冷暖房所の省エネルギー化を進め、低公害車を導入したり、太陽光発電システムを設置し、空港内で使用する電気の一部を賄ったりなど、クリーンな自然エネルギーの有効活用に取り組んでいます。

成田空港は「エコ・エアポートビジョン2010」とよばれる、3つのテーマに沿ったエコツアーを年3回実施しています。このツアーでは、成田空港で実施されているエコを学ぶことができ、同時に空港のダイナミックさと空港周辺の自然の豊かさを同時に体感できます。

空港でエコってなにをしているんだろう、といった疑問を、実際に有機農業を体験したり、太陽光発電の仕組みについてオモチャを使いながら学べるなど、子供も楽しく学べるプログラムとなっています。

他に、関西国際空港では人と地球にやさしい「環境先進空港」を目指しています。その取り組みの一環として、空港内にアジア空港で最大級である約11,600キロワットの発電出力を持つメガソーラーを設置し、「スマート愛ランド構想」として、空港島内で太陽光や水素などクリーンエネルギーによる創エネへの取り組みを進めています。

どの空港も、環境に配慮しつつ、機能的な空港であることは共通しています。これからも技術の進歩に伴い、さまざまな配慮がなされた空港ができてくるでしょう。

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