飛行中に大変なこと3つが起きたら「トランスポンダ」

フライト中に飛行機がハイジャックされたら、機長はコックピットのドアの鍵をしっかり確認して、誰も中に入れないようにします。ドアは頑丈で、何段階にもロックされているので、こういったとき開けられないようにできています。

映画にはドアを爆破して吹き飛ばすハイジャック犯が出てきますが、あれはフィクションで、実際には無理です。防犯上、詳細は書けませんが、あれもこれもできない構造に造られているのが、旅客機のコックピットのドア。

飛行機が堕ちてはハイジャックされたも何もないので、機長が一番安全でなければならない、とされています。ハイジャック犯が操縦を交代して、ちゃんと操縦してくれるとは限らないからです。

操縦できる人もできない人もハイジャックしようとするそうで、そこまでは考えていないそうです。

ですからドラマにあるような「機長が客室に行って、犯人をやっつけて、みんなを救ける」。これは、実際の機長が最もやってはいけないこととされています。

それに、旅客機の機内は密室のようで密室ではない、かなり特殊な環境です。ハイジャックしてはみたものの、飛行機に乗る前に考えていたようにはならなかったというパターンが多く、ハイジャックが成功した事例はありません。

でも、「ハイジャックは成功しません」と言われても、客室乗務員たちや乗客たちを放っておくわけにはいきません。

こういった緊急時など、ジャンボ機にとって特にたいへんなこと3つが起きたら、「トランスポンダ」からの緊急信号で、地上にすばやく報せることができるようになっています。

トランスポンダ(Transponder)は、transmitter(送信機)とresponder(応答機)からの合成語で、無線機の一種です。

たいへんなこと3つは「ハイジャック・無線の故障・遭難」の3種。それぞれに緊急信号が決めてあって、問題点をすばやく地上に伝えることができます。

ハイジャック/7500、無線の故障/7600、遭難/7700

たとえばハイジャックなら、トランスポンダを7500にセットすれば、犯人に知られるリスクなしに、地上にハイジャックを報せることができます。

7600なら「無線通信できません」と地上に知らせることができます。これを報せてから、フライトプランどおりに飛行します。

地上ではこれを聞いて、着陸予定の時刻にあわせて滑走路をあけておいたり、危なくないよう他の飛行機によけてもらったり、必要な対応を行えます。もしフライトプランどおり飛べなかったとしても、フライトプランを参考に飛行機を探したりできます。

7700は、海や山での遭難というより、機体が墜落しそうだからすぐ来てくださいという時、急いで発信するものだそうです。

それと「ゴルゴ13はこれまで何度もハイジャック事件に関わった」という話がありますが、日本の物語なので、おそらくすべて航空機のハイジャックと思われます。

日本ではそういう推定ができるくらい、「ハイジャックといえば航空機」が定着していますが、ハイジャックという英単語は、バスや列車など乗り物全般が本来で、航空機限定で考えるのは日本特有だそうです。

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