着陸を後輪⇒前輪の順番で行う本当の理由

着陸にあたって滑走路に進入するとき、課題の一つとなるのが「機首の上下」

着陸距離を算定するときの基準点は「滑走路端末部の上方50フィート」。全長数kmの滑走路のもっとも端、始まりの位置に立ったとして、その時の頭上15mくらいにあるポイントということになります。

15mというと、建物で言えば4階建て前後。「飛行機がそこを通過してから、どれくらいの距離を減速したら停止するか」というのが、飛行機の制動性能の目安の一つになります。

この50フィートポイントを通過するときの速度は、「1.3Vs」が安全であるとされています。

それぞれの機体の特性によって「ここからは失速です」という「失速速度」があり、1.3Vsは失速速度の1.3倍の速度。ただ、ジャスト1.3を要求するものではなく、「安全のためには1.3Vsくらいで通過するのが適切でしょう」という数字なので、少し余裕を持たせています。

操縦桿の操作が甘かったとか、多少の予定外があっても問題が起きないような数字で、1.3の取り決めがされています。

滑走路に進入するときの飛行機は減速しているわけですから、どこかの時点で失速速度になります。上手に飛行機を失速させて、地面に降りて止まるのが着陸。そうでないのが墜落ということになります。

その飛行機の失速速度がどれくらいの数字になるかは、機種によっても違うのですが、その日の機体と滑走路の状況によります。飛行機の方では同じ速度で飛んでいても、風の向きや強さによっては、すでに失速に相当する速度だったり、その逆もあったりです。

飛行機が滑走路に向かって進入するときは、機首下げ状態。接地の直前に機首上げして、主翼の迎え角を大きくし、失速速度になるのを防ぎます。機首を上げすぎてもやはり失速してしまうので、良い加減のところを見つけなけれはなりません。

最近の機体ではPFDに「機首上げ限界」が表示されます。「これ以上機首を上げると逆に失速しますよ」という意味での「限界」です。

表示の限界以上に機首を上げたら上げすぎで失速なので、そこまでに至らないように。でも機首を下げすぎても速度が遅くなりすぎて失速なので、双方に至らない範囲で調整するのが課題になります。

では実際には、機首の角度をどうするか。そこはパイロットの判断と操縦に任されますす。機体の状況、周囲の天候、フラップなどの角度にもよっても、必要な角度は変わってきます。

滑走路には機首を上げて進入しますから、地面に車輪が接するときは、まず後輪、次に前輪の順番。ジャンボ機の前輪と後輪の構成が違い、後輪が「主脚」とされるのは、どんな状況であっても、着陸の際は例外なく「後輪、次に前輪」の順番で接地するからです。

故障でギアが出ないのはいつでも大変ですが、前輪だけが出ない、後輪はすべて使えるという時は、まだしも不時着しやすいかもしれません。後輪が大半の衝撃を逃がしてくれて、胴体そのものが前輪の代わりとなるので、いかに静かに胴体の前方を接地させるかです。

ジャンボ機全体が受ける衝撃を一挙に引き受けるのが主脚ですから、接地の衝撃を逃がすために頑丈な緩衝装置がついています。

「オレオ」と呼ばれる緩衝柱で、支柱の内部に、油と空気が充填された空間が設けられています。油は作動油、空気は窒素。主脚が衝撃を受けると、その振動で油が主脚上部に設けられている空気室に動きます。その油の移動で、衝撃を逃がしていくのです。

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