パイロットがかぶる小さな帽子の大きな秘密

パイロットと聞いて、あなたがイメージするものといったら何でしょうか?帽子に、レイバンのサングラスに、それからパイプ・・・、いや、そこまでキメてる人は、正直あまり見かけないかもしれません。とはいえ、パイロットのトレードマークとして、やはり帽子をあげる人は少なくないでしょう。

実際、空港で見る彼らが帽子をかぶって颯爽と歩く勇姿はカッコイイものです。ところがこの帽子、コクピット内でかぶることはまずありません。なぜなら、それでは仕事にならないからです。コクピットに入ったパイロットがまず行なうことは、帽子を脱ぎ、扉にある帽子バサミにはさむこと。確かに、いろんな計器やレバーなどがビッシリと並んだあの狭い空間では、けっこう大きめなあの帽子をかぶっていては面倒でしょう。まずは視界が遮られて、上にあるものが見えませんし、通信用のヘッドフォンだってつけられません。

では、あの帽子は、単なるファッションとしての意味だけなの?なんて思われた方、それは早計というものです。実はあの帽子が活躍するのは、機内ではなく機外で、時間帯としては、出発の直前となります。

自分が操縦する飛行機に乗るため、駐機場に行ったパイロットが真っ先にやること、それは機体の外部点検です。機体のまわりを歩いてまわり、どこにも異常がないかを調べる、この作業は「ウォーク・アラウンド・チェック」と呼ばれ、パイロットとコーパイ(副操縦士)にとっては、このとき一度しかない重要な時間です。

そこでじっくりと、見落としがないよう入念に機体のまわりを「ぐるーり」とまわるわけですが、ここで「あの帽子」が大活躍となるのです。

彼らは、車輪の点検以外、つまりこの作業のほとんどのあいだは、まさに「ジャンボ」な機体を見上げる格好となります。そこにもし、エンジンや翼などからオイルや油圧液のしずくが垂れ、目に入ったりでもしたら、それこそ、とんだ一大事です。パイロットは目が命。ましてやその直後のフライトで、目をこすりながら操縦なんて問題外です。実際、点検中になんらかのしずくが垂れてくることは、よくあることのようです。

恐ろしいアクシデントから、「パイロットの第二の命」とでもいうべき目を守る帽子の「つば」は、この瞬間、まさに「最強の盾」となります。

雨の日や、また日ざしの強い晴れの日の作業でも、雨よけや日ざしを遮るなど、大変重宝するものなのです。ですが、それだけではありません。

車輪近辺の点検は、いろいろな突起物もあり、その下をくぐり抜ける際、目測を誤って頭をガツンッ、なんてことも少なくないとか。そんなときにも、あのしっかりとした帽子があれば、かなりの衝撃が吸収されるというのです。

パイロットを守り、ひいては、守られたパイロットがしっかりと機体をチェックすることで搭乗客をも守っています。あの小さな帽子には、実は大きな意味があるのです。

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