LCCの影響で深夜も賑わう成田空港

首都東京の玄関口たる成田国際空港は、より都心からアクセスしやすく便利な羽田空港が再国際空港化することにより利用者数が減少しつつありました。その流れを変えたのがLCC(格安航空会社)の登場。

国内・国外のLCCが、続々と成田空港を拠点として参入したため、特にLCCの国内便利用者が急激に伸びています。

成田空港へは、まず2012年7月にジェットスター・ジャパン、同年8月にエアアジア・ジャパンの国内便がそれぞれ就航、2014年8月には春秋航空日本の国内線3路線が就航しています。また、関西国際空港を拠点とする日本初のLCC・ピーチ・アビエーションも成田への路線を就航させました。2014年末の時点で成田発のLCCの国内線は11都市と結ばれています。

この影響で成田空港の年間総発着回数は2013年に22万6000回という1978年の開港以来最高となる記録となりました。また、利用客も約518万人に上っています。これはLCC参入前の2倍以上の数です。

LCC利用者の年齢層も広がっています。2013年にエアアジアとの提携を解消し、エアアジア・ジャパンから社名を変更したバニラエアは、就航当初の利用者は20代の若者が多かったものの、LCCの認知度が高まった現在では30代、40代の利用も増えてきているといいます。

成田空港を運営する成田国際空港株式会社は、このようなLCC隆盛の時代に対応するために第2旅客ターミナル北側にLCC専用ターミナルを建設することになりました。2015年3月に完成予定のこのターミナルは、ターミナルと飛行機を直接つなぐ搭乗橋を造らず、建設コストを抑え、LCC利用者の利便を図って施設利用料を低く抑える予定です。

LCCはいわば「薄利多売」の航空会社。どれだけ多く便数を増やせるかが勝負のカギとなります。そこで増えたのが早朝便と夜間便です。成田の離着陸可能時間は午前6時から午後11時。朝一番の便を飛ばすバニラエアのチェックインカウンターはなんと午前4時30分に開きます。

となると増えるのが宿泊費を節約するために空港ロビーで一夜を明かす人たちです。せっかく格安の航空券を使っても、その分を宿泊費にとられたら意味がありませんからね。夏休みを迎えた2014年7月には最大で約130人の人が空港ロビーで夜を過ごしました。

成田空港側はこれを拒否どころか歓迎ムード。ロビーに肘かけがなく横になれる椅子を増やし、コンビニエンスストアも誘致しています。また、2014年7月には第2ターミナルに直結する駐車場ビルの地下に24時間営業のカプセルホテルをオープン。

こちらは1泊3900円からですが、ロビーで夜を過ごすのはきついという層には人気のようです。このカプセルホテル・ナインアワーズにはシャワールームもあり、宿泊客は無料、それ以外は有料で利用できます。

成田空港の受け入れ態勢は充実しつつありますが、できれば空港に泊まりたくないという人にとっては空港までの公共交通機関の対応も重大問題となります。例えば羽田空港の国際線は早朝発の便があるにもかかわらず、朝一番のチェックインに間に合うような電車・バスがなくて不便です。

成田へ向かう交通機関の場合、東京駅から成田空港へ直行する「東京シャトル」は、利用者の増大に合わせこれまでの3倍となる往復107便を走らせています。

最終便は午前2時10分発、3時30分に成田に到着。予約制ですが片道900円と非常に安価。また、その最終便の利用客のために待合室を新設しました。これは午前2時まで利用できます。寒い時期の利用客にとってはありがたいのではないでしょうか?

一方、夜間便で成田に到着した後のことも問題となります。スカイライナーを運行している京成電鉄は夜間便の最終便を午後10時30分成田空港発に繰り下げ。JR東日本もエアポート快速の最終便を午後11時成田空港発に繰り下げるなどの対応を取っています。

こうした流れで、成田空港は今「不夜城」の様相を呈しつつあります。

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