ドローンの急速な普及による法整備は待ったナシ

急速に注目を集めたドローンと法整備への要求

2015年4月22日、首相官邸の屋上に小型のホビードローンが墜落しているのが発見されました。ドローンからは放射性セシウムも検出されており、マスコミも警察も政府もそのような表現をしていませんが、明らかに日本で初めてのドローンによるテロ行為であったと言っていいはずです。警察がこれをテロと言わないのは、警備の杜撰さを追及されるのを避けるためではないかと思います。

該当ドローンは、発見されたのは4月22日でしたが、その後出頭し逮捕された犯人によると、犯行を行ったのは4月9日。つまり2週間近くもそのまま放置されていたことになります。しかも発見したのは官邸職員でした。首相官邸を警備するのは警視庁に属する「総理大臣官邸警備隊」。この警備隊が、屋上を一切警備していなかったというのはあまり触れられません。

こんな穴だらけの警備では、事件をテロだと扱うことで都合が悪いところをつつかれたくないという気持ちにもなるでしょう。

この事件の問題は、首相官邸という重要な場所の警備がザルだったというだけにはとどまりません。

これに先立つ2015年1月に、アメリカのホワイトハウスにドローンが墜落したという事件がありました。これは結局、意図的なことではなく単に操作を誤って、ホワイトハウスに落ちてしまったというだけだったとのことではあるとはいえ、そのような事件が起きているにもかかわらず、日本で同様の墜落事故のようなことが起こる可能性、或いはテロ行為が行われる可能性が一切考慮されていなかったということも大きな問題だと思われます。

その後善光寺などでもドローン墜落事故が起きたことで、泥縄的に規制が叫ばれていますが、実は経済産業省はドローン産業に日本が後塵を拝することを恐れて2014年より数度に分けて「ロボット革命実現会議」を行い、そこでまとめられた「ロボット新戦略」では、ドローンに関する法整備の必要性を訴えていました。

ゆえに、ドローンに関する規制や法整備というものは、本来今更騒ぎ立てることではないはずのことです。

アメリカでのドローンに対する動き

では、ドローン先進国たるアメリカでの法整備はどうなっているでしょうか?

そもそも日本で「ドローン」という名前が注目されるようになったのは、アマゾンがドローンによる無人配達の構想を発表してからだと思われます。それまでもSFアニメなどにドローンが登場することはあったものの、アマゾンの発表までは一部のいち早くホビードローンなどに注目した人たち以外には、あまり現実の中で意識することはなかったはずです。

ドローンによる配達システムに関しては、その後Googleも参入を表明しており、また、そのような配達業務以外の部分では、危険な場所での点検業務などでドローンを活用するという構想を打ち出している会社もあります。社会のドローンに対する要求度も注目度も、日本の比ではありません。

アメリカ連邦航空局は、そうした流れに対して、搭載貨物の重量制限や、許可証の取得を要すること、そして、オペレーターの視界内での飛行といった商用ドローン規制案を打ち出しました。

この規制案は、無人配達などはしてはいけないと言っているようなものであるために、アマゾンとGoogleは強く反発しています。規制案については一般からの意見も集め、2017年以降に最終決定が行われる予定です。

アマゾンはアメリカ連邦航空局からドローンの飛行実験許可を得たものの、遅きに失したと反発。最新機のテストをイギリスで行っています。一方、Googleは自社開発していた配送用ドローンの計画が頓挫。これまでの失敗案も含め、新たなドローンの開発を進めています。

アメリカではこのように、政府と企業のドローンを巡った綱引きが始まっているところです。ただし、それはあくまで商業利用に関する規制案であって、テロなどに対する対策案については、少なくとも表立っては明らかにされていません。

日本でのドローン活用の動き

ドローンの特徴の一つとして、複数ローターによる安定した飛行を行えることで、空撮が簡単にできるということがあります。テレビを見ていると、明らかにドローンで空撮されたであろう映像をよく見かけるようになってきました。

この機能もまた議論を呼んでいるところで、ホビー用の小さなドローンでもカメラを搭載したものがあるために、盗撮などの犯罪に利用されることが心配されています。

とはいえ、無人機で空撮できるというのは災害現場や人が立ち入れない場所の調査でも役立つものであり、実際2014年に噴火した御嶽山や、火山活動が活発になり立ち入り規制がされた箱根の大涌谷の調査にドローンが活用されました。

また、警視庁も災害対策課にドローンを導入。2020年の東京オリンピック開催時には、警備にもドローンを活用するとしています。

警備会社のALSOKは、ドローンを使ったメガソーラー点検サービスを開始。東日本高速道路も、高速道路の点検のためにドローンを使っています。

日本でも、官民問わずにドローンの利用が広まりつつあり、それゆえにこそ、ただ安易に規制するのではなく、安全に有効出来るような法整備が求められています。

ドローン急速普及の背景

ドローンというのは無人航空機を指す言葉なので、何も今注目されている複数ローターの小型無人ヘリコプター=マルチコプターだけがドローンというのではなく、昔からあるラジコンの飛行機やヘリコプターもドローンの範疇に入るわけです。

しかし、ラジコン飛行機やヘリコプターは飛ばすために広い場所が必要であり、また離陸させるだけでも技術が必要となるために、一部の愛好者の間でひっそし楽しまれていたり、農薬散布に使われたりしていただけでした。

ところが近年、CPUの処理能力が向上したことで、複数のローターを制御する技術が向上するとともに、そのような制御ユニットが小型化され、手柄に扱える軽量で小さなマルチコプターが開発されるようになりました。

また、ラジコンヘリコプターでは技術が必要な離着陸の操作も、オートパイロットに任せられるようになったことで操作が容易になり、敷居が低く、間口が広くなったために急速に普及するようになったわけです。

最近では、手のひらに乗せられたり、手首に腕時計のように巻きつけるほど小さなマルチコプターが開発されています。

相次ぐ墜落問題

しかし、マルチコプター型のドローンにはまだ解決されていない問題があります。それは、駆動電力の持続時間です。

マルチコプターは複数のローターを常に適切に制御することで姿勢を保っています。そのために制御ユニットは常に働き続け、電力を消費していきます。それゆえ、一度飛ばすと10分~20分程度で電力が切れ、そこを見越して操縦していないと、突然電力を失った機体が墜落することになります。

日本では意図的に墜落させた事件が何件か起きましたが、世界各地でそのように意図的ではなくともコントロールを失ったマルチコプターが墜落するという事故が起きています。

その問題を受けて、中国のメーカーが自動パラシュート機能付きのドローンを開発したりもしています。今後求められるのは、バッテリーの持続時間の増加と、電力低下時の自動着陸機能の開発ではないかと思います。

いずれにしても、法整備をはじめとして人に迷惑をかけずに新たな社会インフラとして活用できるような方策の確立は急を要します。

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