飛行機で「里帰り出産」したいときの注意事項8つ

「初めての出産で不安だから、飛行機で実家に帰って、里帰り出産します」

実家が飛行機で行かなければならないほど遠いのに「不安だから」と里帰り出産を決定、実行するママが多いようです。

里帰り出産は、飛行機や電車など猛スピードの乗り物がなく、人間が長距離移動をしなかった時代の古い習慣です。

里帰り出産が習慣だった時代は、同じ村の人間同士で結婚するのが普通。里帰り出産といっても、すぐ近所の実家に泊まるだけでした。パパとなる人は、毎日でも出産前後の赤ちゃんの様子を見に行けたのです。

そのころの習慣が、現代都市のパパやママに合っているとは限りません。「不安かどうか」だけで、里帰り出産を決定するのは考えものです。

1.ともかく「病院」

里帰り出産で通う病院をチェックせずに「地元の病院だから大丈夫」と決めてかかるのは、リスクがありすぎます。

里帰り先が地方で、産婦人科の病院が一軒きりしかないという場合「地域全体が頼りにしているくらいだから、信頼できる病院だ」と判断する人がいます。

ですがむしろ逆で、競争相手の病院がないので怖いものなし、思いがけない対応の病院であることが多いのです。

「私の行く病院には、なんの問題もありません。なにしろステキな私が生まれた病院です。私のステキな母だって、その病院で生まれています」という場合もあります。

ですが、あなたのステキなご主人が生まれた病院も、なかなかイケてるステキな病院かもしれません。

近所のレディスクリニックが提携している産科が、実はテレビに出ている超有名病院だった!そういえば、お金持ちっぼい夫婦がよく来ていた・・・。都内では、そういうこともありえます。

「里帰りした場合に行く病院」「里帰りしなかった場合に行く病院」の両方を調べて、比較検討されることをおすすめします。

2.ママ友をどこで作るか

「今住んでいる地域は、知ってる人が少ないから不安」

それで里帰り出産を決めるママもいますが、今住んでいる地域で出産すると、地域のママ友だちがたくさんできます。

同じ病院で出産するママたちなら、育児で困ったときにどこへ相談したら良いか、赤ちゃんのための買い物はどのお店が便利か、地域のことをよくご存じかもしれません。

それに、里帰り出産すると、産後まもなく今住んでいる場所に戻り、以前と同じような「知人が少ない生活」に戻り、そこで慣れない育児に取り組むことになります。

やがて幼稚園への入園などをきっかけに、今住んでいる地域のママ友が増えていくかも知れませんが、それを待たず、出産の時からママ友作りをスタートする方法もあるのです。

3.パパの楽しみを奪うことになるかもしれません

妊娠中は、ママと赤ちゃんは常に一緒に行動しているので、お互いのことをよく知っています。

ですが、パパはそうとは限りません。パパは長い期間、ママとは違った意味で、赤ちゃんに会えるのを楽しみにしているはずです。

里帰りする場所によっては、パパのいる場所から遠く離れた場所で、赤ちゃんが生まれることになります。

「これから生まれそうだから、職場の仕事を中断して、飛行機に乗って、出産の立会いに来てください」とはできません。パパも赤ちゃんも初対面の機会を待つしかなくなります。

赤ちゃんはやっとパパに会えるはずだったのに、何ヶ月も待たなければならない。パパの方もすぐには赤ちゃんに会いに行けない。そういう事態になる可能性もあります。

ママは基本的に生まれたばかりの赤ちゃんとすぐに会えますが、パパは予定や計画を立てて、出産当日がんばって行動しないと、生まれたばかりの赤ちゃんと会えるチャンスを逃してしまうのです。

4.飛行機での移動はリスクがあります

ママのお腹の中で、赤ちゃんは生まれるまでの激しい身体の変化に耐え、日々がんばっています。

大人は「今日はなんだか体調が悪い」と思ったら、自分で旅行をとりやめることができます。赤ちゃんの場合「なんか今日は調子悪いんで、出かけたくないんですけど」が言えません。

航空会社では「機内環境は標高2,000m級の山に登った状態と同じ」と説明しています。体力のある大人でも、その日の体調によっては気分が悪くなる環境です。

赤ちゃんはたまたま飛行機旅行の日に具合が悪かったとしても、誰かにそれを伝えることができないのです。

5.それでも飛行機で里帰りする場合

妊娠中、飛行機での旅行に最も適しているのは、安定期の妊娠12週から28週までとされています。

これとは別に「里帰り出産は妊娠32週から。遅くとも妊娠34週までには里帰りすべき」という説がありますが、医師や航空会社の提案ではないようです。

安全性の問題というより、妊娠34週を過ぎると移動先で「妊婦健診」を受ける間がなく、いきなり出産となるために言われている説の可能性があります。

病院ではママがどういう健康状態か知りませんし、ママのほうもどういう病院なのか、医師やスタッフの人柄や様子を知らないまま、ぶっつけ本番での出産となります。

6.里帰り出産の、出産後は

産後、生まれたばかりの赤ちゃんに飛行機旅行は心配だからと、何ヶ月も実家に滞在するママが多いようです。

こうなると、パパは半年近く独身生活をさせられます。生まれたばかりの赤ちゃんがどんな風だったか、人から話を聞くしかありません。

何ヶ月も寂しい一人暮らしをさせられ、無事に生まれましたよと誰かから聞かされるだけ。パパになった気がしないそうです。

「パパになった気がしない」を何ヶ月もすごしてからの初対面よりは、「出産が赤ちゃんとの初対面」のほうがいいかもしれません。

里帰り出産をして子供を産むのが、もしパパだったらと想像してみてください。

誰かから「あなたの子供は無事にうまれましたからね。あなたは今日からママですよ」と電話かなにかで聞かされるが、赤ちゃんには会わせてもらえない。

何ヶ月も経ってから「これがあなたの赤ちゃんですよ」と引き会わされ、そこから育児がスタートするとしたら・・・。

里帰り出産のパパは、それと同じ状態です。

もっとも、出張や深夜の勤務が多いパパの場合、里帰りしてもらった方が安心という人もいます。

赤ちゃん誕生の瞬間は一度きり。話し合いと打ち合わせを充分に行ったほうが良さそうです。

7.里帰り出産なら誰もが協力的。と、思いすぎると

「里帰り出産なら、親はもちろん、兄弟や親戚も協力的であるはず」と期待して、里帰り出産を決める人もいます。

ですが、大人であれば誰でも自分のライフスタイルを確立していますし、仕事や家事など、日々やるべきことが多くあるものです。

そういったライフスタイルの中に、出産時期だけの期間限定で参加して、「自分はこれから出産なんだから、皆が自分に協力的で、自分を最優先に考えるはずだ」というのは、期待しすぎかもしれません。

逆に、両親が協力的すぎて過干渉レベルになってしまい、どうしようもなくなるママもいます。

自分の周囲の人たちが、自分の予想通りに行動するとは限らないのです。

8.里帰り出産で、必ず「もめる」こと

里帰り出産の終わりごろ、必ず問題となってくるのが「出産前後にかかった雑多な費用を、誰が負担するのか」です。

「冠婚葬祭にいくら包むか」の問題と似ていて、うっかり誰かに質問すると、地域の慣例や風習などを押しつけ、一律いくらだと言い出す人がいたりします。

里帰り出産するかしないかは「誰がどうやって費用を払うのか」が、最重要ポイントかもしれません。

お金のことがなあなあで済んで、後に遺恨を残さない。そういう相手だとカンタンなのですが、なかなかそう都合よくはいかないものです。

こういったお金は、お互いの金銭感覚や、お金に対する考え方がよくよく合っていない限り、出しても出さなくてもトラブルになります。「誰かがなんとかするだろう」で無計画に里帰りするのは、おすすめできません。

社会は、社会人という人間の集団でできています。女性が妊娠・出産・育児によって「一人の社会人」を世の中に送り出すことは、とてもたいせつな社会参加です。

その社会参加は「里帰り出産が、自分たちの性格や考え方、仕事内容に適しているかどうか」パパとママが話し合うことからスタートします。

「あたし、里帰り出産するから」の一言ですませるのではなく、「里帰り出産するとこうなる」「しないとこうなる」を、じっくり話し合ってみてください。

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