妊娠初期の妊婦さんが飛行機に乗る時の注意点と航空会社のサービス
妊娠・出産は女性の体に大きな負担となるもの。特に妊娠から4か月以内の妊娠初期は、体の中に新しい命を形作っていく時期なので体が不安定になり、体質によっては重いつわりが起こります。
また、特に妊娠から2カ月目あたりは流産の確率が高くなる大切な時期なので、あまり体に無理をさせないことが大切。流産の90%以上は妊娠初期の早期流産で占められています。
地上での電車や自動車での移動も妊婦さんへの負担は大きいものですが、飛行機での移動というのは気圧や酸素濃度が急激に変化するため、その負担は地上移動の比ではありません。
妊娠初期の時期は極力飛行機に乗るのは避けたほうがいいのは確かです。もし、事前に予定していた旅行などの時期が妊娠初期と重なるようなら、中止または変更をしたほうが無難だと思われます。
とはいえ、どうしても緊急に飛行機で移動しなければならないということもあるかもしれません。その場合の注意点や対策について考えてみたいと思います。
まず、飛行機に乗る時は航空会社にその旨を伝えておきましょう。ANAには「ファミリーらくのりサービス」JALには「ママおでかけサポート」という、機内で妊婦さんをサポートしてくれるシステムがあります。
ANAの「ファミリーらくのりサービス」は搭乗前には搭乗口までの電動カート移動や事前改札、搭乗後は手荷物の収納サポートなどのサービスがあります。また「マタニティータグ」を貰えるのでそれをつけておけばわざわざそのサービスの利用者であることを説明する必要もありません。
JALの「ママおでかけサポート」も、事前改札と機内でのサポートを受けられます。
このようなサービスは全ての航空会社にあるわけではないので、安全性のためにもサポートサービスがある航空会社を選ぶようにしましょう。
値段が安いからといってLCC(格安航空会社)は禁物です。LCCの飛行機はできるだけ乗客を詰め込めるように座席の間隔が異常に狭く、コスト削減のために機内サービスもほとんどありません。また、座席指定には別料金がかかります。
座席は、機内の壁の前のシート=バルクヘッド席を希望すれば優先的に割り振ってもらえます。バルクヘッド席は前に座席がないので前の人がリクライニングをして空間が狭くなることはなく、足もある程度伸ばせるので楽に過ごせます。
ただし、同じ前に座席がない席でも通路側でその前が非常口になっている場合は妊婦さんは使わせてもらえません。これは緊急時に迅速に非常口を使えるようにするためで、機内にいる全員の命にかかわることですから、ルールに従いましょう。
バルクヘッド席でないときは、通路側の席にしてもらったほうが、すぐに立ち上がることができるのでエコノミー症候群を予防しやすく、また気分が悪くなった時にもトイレに行きやすくなります。
機内の通路は狭いため、トイレに行きやすいようにトイレ近くにしてもらうことも忘れないでおきましょう。また、搭乗時にキャビンアテンダントにトイレの位置を確認しておくことも大切。
これらのことはチェックイン時に妊婦であると伝えるか、あるいは事前チェックインで座席を指定すればある程度の条件を満たすことができます。
妊娠初期はつわりが起こりやすい時期です。普段からつわりがきついと言う人はもちろん、普段はそれほどつわりがないという場合でも、飛行機の中の環境変化や揺れなどで気分が悪くなったり吐き気が起こることがあります。
飛行機の乗る直前には食べ物を摂らないようにする、エチケット袋を何枚か持参するなど吐き気が起こることを前提に準備しておいがほうが安心です。準備をしてあるという安心感から吐き気が抑えられるという場合もあります。