明日はフライト、機長の自宅での過ごし方は?

ジャンボ・ジェット機の機長をしている男性の、ある月の前半のスケジュールです。

 1日 出社 06:00  退社 14:00 羽田→千歳→羽田→福岡(福岡泊)

 2日 出社 08:00  退社 16:00 福岡→羽田→熊本→羽田

 3日 出社 07:00  退社 12:00 スタンバイ

 4日 出社 14:30  退社 20:30 羽田→鹿児島→羽田

 5日 休日

 6日 休日

 7日 出社 14:30  退社 10:00(現地時間)成田→ロサンゼルス(泊)

 8日                    ロサンゼルス泊

 9日 出社 12:30(現地時間)     ロサンゼルスを出発
 
10日           退社 17:30 成田

11日 休日

12日 休日

13日 休日

8時から5時まで、週休二日でお仕事をされている方には、想像もつかないスケジュールかもしれません。接客業は人と同じ休みが取れないと言われますが、それでもここまでではありません。航空機は国内外を結ぶ交通機関なので、そこに関わる人たちは、こういう勤務時間をこなしているのです。

月の半分近く自宅に帰ることはありませんし、お正月やお盆のお休みもありません。出張先の空港やホテルを移動中、バスの中で年越しもあるそうです。3日の「スタンバイ」とあるのは、他の機長の急病や急用に備えて、自宅で待機すること。お休みの日ではありません。

これは機長のようなパイロット職だけでなく、客室乗務員、空港整備士、航空管制官、空港でカウンター業務を行う人も・・・空港や旅客機に関する業務にあたる人は、全てこういう勤務をされているそうです。世界中に向けて飛び立つ飛行機が、出発すべき時間にいつでも出発できるのは、こういうシフトが組まれているから。

自宅で夜を過ごせる日とそうでない日がありますが、自宅で夜の日は、家族とゆっくり夕食を楽しんだあと、自分の書斎で星を見る人が多いそうです。地上から星空を見上げるよりは、当然ながら旅客機に乗って、上空1万メートルから見た星空の方が鮮明できれいなのですが、目の疲れを癒したり、次のフライトのイメージトレーニングをしたり・・・それには、部屋から星を眺めるのが一番いいとのこと。

それに、何年も国際線を経験しているようなベテランの機長でも、フライト前夜は緊張するそうです。星を眺めてリラックスする時間を大切にしているのかもしれません。航空機は世界一安全な乗り物ですが、物事に絶対はありません。人命を預かるパイロットでいる限り、万が一に対する不安は常にあって、完全に消えることはないのです。

フライトに持っていく持ち物に関しては、きちんとチェック・リストを書いて、前日から準備する機長が大半だそうです。フライトバッグには操縦用のグローブやヘッドセット、オペレーションマニュアル、ルートマニュアル、筆記具やライトなど、忘れてはいけないのがパスポートや入国書類で、そこは乗客と同じだそうです。

それに、操縦士の技能証明書、航空身体検査の証明書、無線従事者の免許、航空英語能力証明などの書類。パスポート類もあるので書類ケースは満タン。車を運転するとき免許を所持していなければならないのと同じで、航空法でこれらを所持して乗務すること、となっています。

一つでも忘れると乗務できなくなるそうで、自宅から出かける前にも、空港に出勤してからも、何度も何か忘れてないか、確認をくり返すそうです。

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