欧州でも激化するLCCとの競争にルフトハンザは耐えられるか

日本でもLCCの人気によってスカイマークやエアドゥ、スターフライヤーといった規制緩和後にできた新興航空会社が経営難に追い込まれているという話をよく聞きますが、日本よりはるかにLCCの歴史が長いヨーロッパでも、そのような問題は起こっているようです・・・。

LCCは日本では最近就航したため、新しい航空会社の形態と思われているかもしれませんが、欧米では1970年代後半ごろにはすでにLCCの原型ともいえる格安航空会社が登場しています。当然、既存のいわゆる「レガシーキャリア」と呼ばれる大手との長い競争の歴史もあります。

例えばドイツのフラッグキャリア、ルフトハンザドイツ航空は、これまで系列会社としてドイツ国内線を運行してきた「ユーロウイングス」を、アメリカ、アフリカ、インド方面への長距離LCCとすることを発表しました。これはルフトハンザグループのCEOカルステン・シュポア氏の、LCCとの競争に勝ち抜くために長距離便を拡大していくという戦略の一環です。

このユーロウイングスの長距離便には最終的に7機のエアバスA330が投入される予定です。

ユーロウイングスには更に、エアバスA320が23機増やされて、ドイツからヨーロッパ各地への便も増やされます。

また、そうした流れとは別に、トルコ航空との合弁会社であるサンエクスプレスと、ルフトハンザ本社が協力した大陸間低価格サービスの開始も予定しています。

ところがこうしたシュポア氏の路線は社員、特にパイロットには不評です。それというのも、この長距離LCCが、パイロットへの報酬と好待遇を約束している契約から外れた形で運行される。つまり、収入が減るか、休みが減るか、あるいはその両方が減るかして、今より忙しくなるからです。

ルフトハンザのパイロットは2014年には9月、10月、12月にそれぞれ数度のストライキを行っています。2014年に行われたストライキは合計9度に上ります。これらのストライキは表向きには早期退職の規則変更への抗議とされていますが、実際にはシュポア氏の経営戦略への不満と抗議という側面が強いようすです。

会社側は、競争力を維持するための変化の中で労使環境も変わらなければならないとして、ある程度パイロット労働組合側への歩み寄りも見せたものの、交渉は決裂。相次ぐストライキによる欠航でルフトハンザ航空は1億7000万ユーロ、日本円にしておよそ240億円もの損失を蒙りました。

2014年12月初頭に行われた2日間のストライキでは、およそ15万人が欠航の影響を受け、会社側は顧客に対して謝罪をせざるをえませんでした。

これらのストライキの影響は日本も受けており、ミュンヘンやフランクフルトなどドイツ各空港と、羽田や関空を結ぶ路線が欠航となっています。

ルフトハンザ航空は、系列会社による長距離LCC運行の他に、自社の短距離便を、ユーロウイングスの子会社のLCCであるジャーマンウイングスに移管するということも行いました。これは、ルフトハンザ本社のコスト削減のためです。

しかし、LCCであるジャーマンウイングスは、ひたすら低価格を追求しているアイルランドのライアンエアーや、イギリスのイージージェット、スペインのブエリング航空、ノルウェーのノルウェー・エアシャトルなどといった、ドイツに就航している他国LCCとの直接的な競争に直面しており、現在より20%コストを下げることを求められています。これは労使間のさらなる火種となることは想像に難くありません。

とはいっても、ではパイロット側に妥協して、日本企業的になあなあで行ってしまえば、グループ企業全体の経営が危うくなるでしょう。日本のスカイマークは経営危機に瀕し大手の日本航空や全日空へ助けを求めました。しかし、ルフトハンザには国内に助けの手を伸ばすような、ルフトハンザより大きな航空会社はありません。

このような労働争議を克服した上で、業績を回復させているのが、イギリスのブリティッシュ・エアウェイズとスペインのイベリア航空の共同経営会社インターナショナル・エアラインズ・グループです。特にイベリア航空の業績がよくなったことでインターナショナル・エアラインズ・グループの株価は10%の上昇を見せました。

LCCや他国の航空会社との熾烈な競争を勝ち抜いていくためには、コストダウンや新サービスの投入よりも先に、労使間でコンセンサスを得た「痛みを伴う」経営改革が必要なようです。

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