東レとボーイングが結んだ大口取引に潜むリスクとは

2013年、三菱重工や川崎重工、富士重工など日本の企業も開発に参加したボーイング社の新鋭機「ボーイング787」が発火したり煙を出したりという事故が相次ぎました。

原因は日本のジーエス・ユアサコーポレーションが製造したリチウムイオンバッテリーが中心となる電源ユニットにあるということで、ジーエス・ユアサコーポレーションは日本の国土交通省とアメリカの国家運輸安全委員会が立ち入り検査を受けました。

しかし、実際にはバッテリーのみに原因があったわけではなく、韓国企業が製造した電圧制御ユニットなどを含む複合的な問題が原因であるとも言われ、立入検査を行った国家運輸安全委員会は最終的な原因を特定できなかったという報告を発表しています。

この事件は製造メーカーであるボーイングが、ジーエス・ユアサコーポレーションをスケープゴートとして責任をかぶせたものであるという批判も出ていますが、それが大きく報道されることはありません。

2014年末、場合によってはこのジーエス・ユアサコーポレーションと同じ轍が踏まれるのではないかと懸念される契約が、ボーイング社と東レとの間に交わされました。

現在航空機は軽量化のためにカーボン繊維を用いた部品を多く使用しています。ボーイングは、現在開発中で2020年に1号機が完成予定の「ボーイング777X」の主翼に、東レが製造するカーボン繊維「トレカ」を用いたカーボン繊維シート「プレグリク」を用いることで合意。

東レはすでにボーイングとは2006年から2021年までカーボン繊維供給契約を交わしていますが、今回の合意によってその契約がさらに10年延長されます。

これによって供給総額は1兆円にも登ると見られ、東レの株価も上がっていいことづくしのようにも見えます。しかし、現実にはそんな都合のいい契約でもないようです。

実はこの契約は年間の最低取引数が決められておらず、加えてトラブル発生時には東レにのみ責任が負わせられるものであるとのこと。つまり、取引数はボーイングの都合で決まり、何か事故が起きたときにはジーエス・ユアサコーポレーションのようにスケープゴートにされるということです。

東レにとっては社運をかけた大口の取引。しかしそれだけに発注者であるボーイング社の立場の方が強くなり、このような東レにとってリスクがある契約になった模様。東レにとっては、事故が起きないように祈るばかりでしょう。

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