スカイマークはLCCなのでしょうか?

2012年は、3月に関西国際空港を拠点とするピーチ・アビエーション、夏には成田空港にジェットスター・ジャパンとエアアジア・ジャパンが就航し、“LCC(格安航空会社)元年”といわれた年でした。

しかし日本には、随分前から格安の航空運賃で航空券を販売している航空会社があります。皆さんもご存知のスカイマークです。

スカイマークは、1990年代に行われた空の規制緩和により誕生しました。同社は、当時、ANA、JAL、JASの大手3社が日本の空を占めていた中に、強い価格競争力で挑んだ新興の航空会社です。

1998年の羽田-福岡線を皮切りに、需要の多い羽田-札幌線などを開通し、基幹路線では常に90%近くの搭乗率を実現してきました。当時ではフルサービスが当然の時代でしたが、機内サービスを簡素化し、普通運賃を、大手航空会社の普通運賃の半額程度で販売しました。

この低運賃で利用者の需要をつかみ、これまでは電車を利用していた人や飛行機に乗ったことのない人も、飛行機を利用してみたのではないでしょうか。

サービスに関しても、確かに飲み物も食事も有料であったりと、大手に比べると簡素ですが、大手も早朝便でなければ軽食はありませんし、座席もさほど狭いという印象は無いようです。客室乗務員のサービスも丁寧で、全体的には特に不満を感じるようなところはありません。

ところが大手航空会社は、スカイマーク便前後の便の割引き運賃を、スカイマークと同水準へ値下げするという対抗策をとったために、スカイマークは次第に搭乗率を下げ、平均搭乗率が60%を切ることが多くなり、苦しい経営となました。

しかしその後、自社による副操縦士の教育プログラムや自社整備の拡大、航空運賃を見直すなどして、一時的に黒字を出すまでになりました。その後も山あり谷ありの経営状態でしたが、事態が大きく変わったのが、和製LCCの出現で、その影響をまともに受けたのがスカイマークです。

誕生したばかりのLCCは同じ路線に4000円台から就航し、“最も運賃の安い航空会社”というスカイマークの旗印を奪ってしまったのです。

年間平均で80%超という、高い搭乗率は急落し、2012年度第1四半期は赤字に転落しました。

当時、搭乗率を著しく落とした理由について、スカイマークは「もちろん、LCCとの競合も大きな理由の一つ。だが、それ以上にスカイマーク自身が値上げしたことで、客離れを引き起こしてしまった」と説明しています。

搭乗率の下落に直面したことで軌道修正し、再び値段を下げ、搭乗率は回復しつつあります。今度は大手のみならず、新興LCCとの競争も加わりました。

現在では、ソフトドリンク・ミニペットボトル・ビールなどを100円で、神戸ワイン赤・白を300円で機内販売したり、ひざ掛け毛布と幼児向け絵本の貸出、自社時刻表の配布、機内誌の配布など、機内サービスの簡素化を行っています。

2014年春から、大型のエアバスA330-300型機を導入し、通常のエコノミークラスよりもゆったり座れる「グリーンシート」を全席に搭載します。

エコノミークラスの通常シートなら440席入るところを、271席に絞り、シートピッチは、追加料金1000円で、提供しているJALの「クラスJ」と同様で、ANAやJALの普通席やLCCよりも広くしています。しかもこのグリーンシートは普通席として利用できるのです。

では、このようにサービスの簡素化・格安での航空券販売を特徴とするスカイマークは、LCCなのでしょうか。

格安航空会社に明確な定義はありませんが、一般的には、コストを削減して低価格を実現している航空会社をさします。コストが低いということで、欧米ではLow Cost Careerを略してLCCと言われています。

日本ではスカイマークが初めての格安航空会社とされますが、欧米の格安航空会社に比べるとサービス水準は高く、大手と同じくらいの水準で、その観点からスカイマークはLCCとは言えない、という意見もあります。

国内ではピーチやジェットスター・ジャパンなど、海外ではライアンエアやサウスウエストなど、格安航空会社LCCとされる航空会社が多くありますが、各社とも、それぞれ仕組みが異なります。

手荷物などのオプションがほとんど別料金になるLCCもあれば、大手航空会社と似たようなオプション条件を提供しているLCCもあります。

では実際、スカイマークの西久保社長自身はどう考えているかというと、「安いといっても大手がいての相対的な安さで、大手がいないと成り立たない。自分たちはLCCにはならない」と言っています。

関連記事

おすすめ記事

ページ上部へ戻る