関西の二空港が「コンセッション方式」で新時代へ

関西の両空港は、今年、記念すべき年を迎えました。

伊丹空港は開港75周年。関西国際空港は開港20周年。いわば空港のベテランと若手ですが、両空港は2012年に経営統合しており、さらに2016年から「コンセッション方式」による運営が開始されることとなっています。

伊丹空港はベテランだけあって、近年は空港設備の老朽化による建物などの安全性が懸念されており、従来から対策が進められていました。

来年2015年から対策が本格化し、建設されてから45年経っているターミナルビルの改修が行われます。総工事費200億円、着工は2015年の春。2020年のリニューアル完了を目指して準備中です。

ターミナルとボーディング・ブリッジを結んでいる複数のフィンガーについても、建て替えなどによる耐震工事が行われます。運航に影響しないように工事のスケジュールが組まれていますので、これに伴う減便などはありません。通常通りの運航を続けながらの工事となります。

リニューアルの目的は、建物の老朽化の解消や、耐震性の強化だけではありません。

ビジネスマンの利用客が多い伊丹空港では、各エリアへの移動距離が長く、空港到着から空港を出て目的地に向かうまでの時間がかかり過ぎることが問題となっていました。

今後はJALとANAの二つに分かれていた到着口を一つに統合し、バスの乗降場所は改変、保安検査場へつながる立体連絡通路が新設されるなど、スムーズに移動できるストレスフリーの空港に生まれ変わることとなります。

JALのグループ会社ジェイエア、ANAのグループ会社ウイングの両社が、最新鋭のリージョナルジェット「MRJ」の導入を決定しているので、そのための工事も行われます。

日本一の眺望を誇る展望デッキの拡張工事が行われることも注目されています。

展望デッキの眺望の良さでは中部国際空港セントレアや羽田空港が知られていますが、伊丹空港の眺望は国内屈指といわれるほどです。関西の名産品を集めたエリアも登場することになっていますから、飛行機に乗る人も乗らない人も、心地よくすごせる空港となっていくことでしょう。

一方、関西国際空港は、2014年9月に開港20周年を迎えています。

20周年の記念日となった9月4日には「関空の成人式」が行われ、「成人したのだから、補助金を必要としない、自立した空港としての経営を目指す」という宣言が行われました。

関西国際空港は2003年から国の補助金を受けているのですが、その金額は2012年度が約70億円、2013年度が40億円と、年々大きく減額することに成功しています。2014年度には20億円までに改善し、補助金ゼロとなることへの期待を込めての宣言です。

その上、2016年からは「コンセッション方式」による運営が開始されます。「負債のない、国からの補助金を受けない空港」に回復する見込みとなったのです。

関西国際空港の滑走路は4000mと3500mの2本。非常に効率が良い上、日本初の海上空港ですから騒音問題が少なく、24時間の運航も可能。1994年に開港した当初から、大阪からの移動時間が長いにも関わらず、たいへんに人気のある空港でした。

ところが、2000年に利用客数・約2000万人を記録したあと、一転して減少となります。

2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行が海外旅行者を大幅に減少させ、国からの補助金を受ける事態になってしまいました。その後、リーマン・ショックなどの影響が重なったため、利用客数の最少記録を出すまでに至ったのです。

しかし2012年、国内初のLCC「ピーチ・アビエーション」が関西国際空港に就航し、これが転機となりました。同年、ピーチ・アビエーションに続く形でジェットスターやジェットスター・ジャパンも就航し、LCCの躍進が始まります。

関西国際空港の国際線利用客数が前年比13%増の約1100万人、国内線では43%増の約540万人と大きく増加し、そのことが空港内の商業施設「エアロプラザ」の活性化にもつながっていきます。

関西国際空港では、航空会社の関連施設が入っている第1ターミナルを出ると、公共交通機関の乗降場があり、その向こうにエアロプラザがある、という配置。そのため、第1ターミナルを出た利用客は関西空港駅など交通機関へ流れてしまい、エアロプラザまでは行かない、という流れが定着していました。

こういった人の流れが、2012年3月のピーチ・アビエーションの就航で大きく様変わりします。ピーチ・アビエーションが、エアロプラザにチェックインカウンターを設けたためです。

同年7月にジェットスターやジェットスター・ジャパンの就航が続いたため、同年10月にはエアロプラザにLCC専用ターミナルが完成。そういった整備がすすむにつれ、エアロプラザそのものの利用者が増え、空港全体を活気づけることとなったのです。

2015年には新しく第3ターミナルがオープンする予定で、今後の発展が期待されています。

2016年1月からは、伊丹空港・関西国際空港を合わせて「コンセッション方式」での運営が始まります。

国の出資100%の「新関西国際空港会社」が空港の「所有権」を、民間企業による特定目的会社(SPC)が空港の「運営権」を管理するものです。空港の滑走路やターミナルなどの設備は資産なので「所有権」と「運営権」があり、二つの権利を別々に管理することができます。

新関西国際空港会社は「伊丹空港と関西国際空港の空港設備の所有権」を保持したまま、「設備を運営する権利だけ」を民間の会社に売却します。

運営権を購入し管理するのは、公募で選ばれた民間企業が設立した特定目的会社(SPC)です。運営する期間はあらかじめ設定されていて、2015年度から2059年度までの45年間。

期間中は運営権の対価として毎年約500億円、総額約2兆円が新関西国際空港会社に支払われる見込みです。支払われた運営権の対価は、関西国際空港の負債(2013年度末で1兆1659億円)に充当されます。

こういった方式での運営は、将来、仙台空港など他空港でも行われる予定です。先行する新関西国際空港会社はそのモデルケースとなります。

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