「ウイングレット」が消費燃料を軽減できる理由とは?
2005年の秋、グアムから成田空港へ、コンチネンタル航空の新しい機材が届けられました。その機体は、ボーイング737-800。「ウイングレット」装着機が、日本に就航した第1号機です。
子供が折り紙で紙飛行機を作るとき、翼の先っぽを少しだけ折り曲げることがあります。そうしておくと、紙飛行機の姿勢が安定し、長くまっすぐに飛ぶようになるからです。
ウイングレット(主翼端翼)は、それとよく似た形をしています。
主翼の先端を鋭角的に折り曲げたような形状をしていて、飛行中の空気抵抗の軽減を目的に、装着されるものです。
ウイングレットは、1990年前後に製造された747-400などに導入されたことから、その後、一般的になりました。
飛行機の主翼は、上面を速い速度で、下面には遅い速度で空気が流れることで負の圧力が生じ、これが揚力となって機体を浮き上がらせます。
ところが翼の先端部分では、下から上へ空気が逃げてしまい、空気抵抗の原因となる「翼端渦」が発生してしまいます。翼端渦が、前へ進もうとする旅客機の抵抗力となってしまうのですが、そこで威力を発揮するのがウイングレットです。
ウイングレットは翼端渦を拡散させますが、それだけではありません。翼端渦の気流を、前向きの揚力(推力)に変える働きがあります。
それによって、消費燃料を3~5%節約することが可能になるのです。
次世代型の737-800などは、主翼を延長した形で滑らかな曲線を描く「ブレンデッドウイングレット」が採用されています。
コンチネンタル航空は、2006年春に保有するすべての737-800型機などへ装着を完了しました。この装着によって節約できる燃料は一機あたり年間30万リットルにも達するそうです。
その後、チャイナエアラインなどでも保有する737-800へのウイングレット装着を進めました。日系エアラインではANAが737-700を、JALも737-800を導入しました。
消費燃料節約の実現のための戦略的な導入であり、大きな期待を寄せられています。