機内食だけで足りない人のために機内食の「おかわり」はあるの?

空の旅の「最大の楽しみ」は機内食です。以前は機内食というとあまりパッとしないイメージでしたが、最近では一流のシェフが腕をふるったり、上空1万mの食事とは思えないような料理がふるまわれることもあります。日常にはない場所で、日常を忘れさせてくれる美味しいものを頂くことができます。

フライト中は狭い座席でじっとしていないといけないし、隣客のじゃまになってないか気になるし、窓が小さくて眺めがいまいちだし・・・、普段と違う場所で、なにかと気を遣ってばかりの機内で、一番の楽しみかもしれません。

日本は国土が小さいため、国内線では、どんなに長距離を飛んでも3時間もかかりませんから、フライト中に食事をとる必要はまずありません。早いかわりに、機内食の楽しみもないという点では物足りないのですが、どちらを取るかというところです。

一方、国外へ飛ぶ国際線は長距離なので、そのぶん長時間、同じ機内でずっと過ごさなければなりません。そのかわり、機内食を満喫できるというわけで、離陸してまもなく機内においしそうな料理の匂いが漂ってくると、とても嬉しい気持ちになってしまいます。

このおいしそうな匂いは、もちろん料理が温められるときに発するものですが、エコノミークラスでは1食につき、温かい料理は1品と決まりがあります。同じトレーにパンやサラダ、デザートの果物など冷たい食品がのっているのに、どうやって1皿だけを温めることができるのでしょう。

この温かい料理、つまりメインディッシュのお皿は「アントレ」と呼ばれています。アントレの下にはあらかじめ加熱板が敷いてあり、トレーを収納しているカートごと、ある一定の温度で温めると、アントレだけが特に高温になり、温かい料理ができるというわけです。

もっとも、この加熱板は最近になって登場したものです。これが導入される前は、客室乗務員がすべてのトレーからアントレだけを一つずつ取り出し、数個ずつオーブンに入れて温めていたそうです。乗客が500人なら500個のアントレです。それを手作業で温めていたのです。

想像を絶するような作業ですが、こうなると早く食事にありつける人とあとまわしにされている人との時間差も、相当なものになります。後回しになった人が、先に食べてる人を、美味しそうな匂いに包まれながら、ずっと見てないといけなかったらしいのです。機内は美味しそうに食べる人と、それをうらやましそうに見てる人で、たいへんな光景になっていたかもしれません。

アントレはこういう「大問題」を一挙に解決した加熱板だったのです。

ところで、この機内食、比較的胃袋の小さいアジア人には十分満足のいくボリュームだと思われますが、大食漢の人には物足りない感じです。機内食に「おかわり」はあるか?といえば、答えは「No」です。機内食は原則として搭乗の乗客の人数分しか搭載されません。余分に載せれば重量がかさむことになるからです。

「おかわり分くらいなら、大した重量にならないのでは」と思われるかもしれませんが、1人の乗客にはおかわりを出して、ほかの乗客には出さないということはできません。何人が「おかわりします」と言い出すかわかりませんから、「おかわりできます」としてしまうと、どうしてもそのために、ある程度の人数分を用意することになります。

たとえば50人分のおかわりを用意するとなると、それなりの重さです。食品そのものの重さは軽いのですが、トレーを収納するカート、力ートを収納するギャレー(調理台)を余分に載せることになります。1~2台、余分に積んでも大丈夫そうに思いますが、カート1台の重さは約100kg、ギャレー1台は1tあります。客室乗務員がさりげなく運んでいるカートは、見かけよりずっと重いのです。

機内食1食では物足りないかもというときは、方法があります。機内食(ミール)以外のもので、空腹を満たせばいいのです。食事と食事のあいだに軽食が出されますから、それをお願いするという方法です。

そんなに待てないという場合は、ほかの乗客に直接交渉するという手もあります。乗客のなかにたまたま「搭乗前に食事をとったばかりで満腹なので、機内食はいらない」と言い出す人がいるかもしれません。そういう人が偶然、隣の席にいてくれればの話ですが。そういう偶然を待つより、搭乗前にパンかお菓子を買っておいて、機内に持っていくほうが早いかもしれません。

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