ドローンの利用を柔軟に規制するには

無人飛行機ドローンが普通に手に入るようになり、最近国内でもドローンを首相官邸の敷地に侵入させたり、名古屋でドローンが墜落したり、意図的かどうかを問わず悪事が話題となっています。

イギリスやアメリカでは、意図的に航空機へ接近させたとされている事例も報告されていて、ドローンを活用する上で、どのように安全性を確保するかが課題となってきています。

悪意を持った活用に対しては歯止めをかけなければならない一方で、法律などで縛り過ぎると普通に使用する上でも支障が出ることもあるため、未知の活用分野についての模索を妨げるないようにするという点ではなかなか難しいところといえるでしょう。

デジタルガジェットが好きな人の間では、複数のプロペラを持つ“マルチコプター”は主に“ドローン”と呼ばれていますし、報道などでもこの“ドローン”という名称が使われることが多いため、私たちにも馴染みのある言葉になっていますが、広く「無人航空機」を指す言葉としてこの名称は一般的ではありません。

趣味でラジコン飛行機を楽しむ人の間では、形式から「マルチコプター」と呼称されていますし、軍事・産業分野では「UAV(Unmanned Air Vehicle=アンマンド・エアー・ビークル)」もしくは無人航空機を含むシステム全体で「UAS(Unmanned Aircraft Systems=アンマンド・エアークラフト・システムズ)」とも呼ばれています。

定義や総称は未だに意見が分かれるところのようで、その理由のひとつとしてハードウェアの形式としては同じマルチコプターでありつつも、それぞれ異なった分野で活用が進んできたためといわれています。

そんな中で、2014年7月に国内に一般社団法人日本UAS産業振興協議会が発足、2015年11月には設立記念シンポジウムが開催。

ドローンは事業用としてだけでなく、趣味にも使えるものであることは言うまでもありません。カメラで上空から撮影する空撮は、比較的どの分野においてもなされているドローンの活用方法のひとつです。

趣味としてラジコン飛行機を楽しむ分野では、アクロバティックな機体操縦を楽しむ3Dフライトやレースなど、デジタルガジェットとしてはスマホでの操作が可能であったり、自律飛行によるパフォーマンスに対する興味も強いとされています。

また、産業分野での活用では物流やネットワークインフラ構築、建設現場や太陽光発電設備の監視といった目的も挙げられており、意外にもその活用方法には多様性があるようです。

ハードウェアが同じでも活用目的が異なればそれに対する問題点や課題も異なるのが常ですが、小型のマルチコプターが普及しはじめて日が浅いこともあり、現状としては議論や検討の基盤も整備されていません。

一般社団法人日本UAS産業振興協議会が産業分野での活用促進を目的として発足しましたが、その協議会への参加についても未だ関連する企業などが網羅されているとはいえない状況です。活動分野をどう定めるかといった点も含め、様々な分野を巻き込んで議論を起こしていくことが必要となっていると思われます。

最近では手軽に小型のマルチコプターが手に入るようになったため、個人が事故や事件を引き起こすケースも増えてきています。

国内では2014年4月に名古屋の繁華街にマルチコプターが墜落した例がありますが、もっと意図的な行為として、米国フロリダ州や英国エセックス州で航空機にマルチコプターを意図的に接近させたとされる事例があります。

ニアミスが起きた高度は、イギリスの例では約460m、アメリカの例では約700mとかなりの高度で発生したようです。

マルチコプターの操作性や機能の向上によって広がった活用の裾野が、皮肉にもこうした悪意を持った利用者にも広がってしまっている現実があるということは否めません。

新しい技術分野の活用が広がっていく過程では、事故であるか悪意によって起こされたものであるかに関わらず、こうしたリスクに対応していくことが不可欠となってきますので、このような場合はまず関連企業や団体で自主的にルールを定めたり、ハードウェアに安全のための機能を付加したり安全な範囲に機能を制限するという方法があります。

しかし、これらは性善説に基づき善意の利用者が意図せず事故を起こさないようにすることを目的にしているため、アメリカやイギリスで発生した航空機へのニアミス事件のように悪意のある利用に対しての効果は限定的となるものと想定されます。

悪意で活用されているマルチコプターについては迎撃するという対処方法になりますが、実は撃ち落とそうにも高度や大きさの問題があり、周辺の安全に対する配慮からも方法が限定されてしまうそうです。

また、物理的な危険への対応としての迎撃は有効だとしても、プライバシーへの脅威や不安へについては迎撃では解消することはできません。

こうした議論はまだ緒についたばかりですが、議論や対応を行う枠組みについても活用範囲が広がっていくことで用途別に複数必要となる可能性もあると考えます。

命の危険に直結するケースもあるだけに慎重に進めるべきという点は当然ではありますが、未完成な活用分野の模索をいかに妨げないかといった点も十分に考慮することが肝要と思われます。

ドローンは便利に活用できるものである一方、悪意を持った人間が使用することで危険なものにもなりうるため、柔軟な利用を妨げない範囲で抑止力をもたせるような法律などの整備が期待されます。

関連記事

おすすめ記事

ページ上部へ戻る