パイロットが会社に出勤し、旅客機に乗り込むまで

ジャンボ機の操縦をするには、パイロットの養成訓練を受け、航空会社に就職し、会社に出勤。パイロットは、自動車と同様、免許制度です。「航空従事者技能証明」の試験に合格すれば、航空機を操縦できます。

操縦士には何種類かあって、それそれを受験するには規定の飛行経験が必要。

「自家用操縦士」は、無償運航を行う航空機の操縦とされています。受験には40時間以上の飛行経験が必要。

「事業用操縦士」は、航空機使用事業を行う航空機の操縦。こちらに必要なのは200時間以上の飛行経験。

「定期運送用操縦士」は、定期航空運送事業の航空機の操縦。もっとも長い1500時間以上の飛行経験が必要。

パイロットになって航空会社に就職できたとして、まずは会社に出勤です。

パイロットの出勤は「ショー・アップ」と言われ、出勤時間はその日の担当内容で変わります。

でも、自分の好きな時間に出勤してよいというわけではありません。航空会社それぞれで規定があり、「この路線は遅くとも何分前にショー・アップしなければならない」と決まりごとがあります。

会社についたら制服に着替えて出社確認をしますが、そこからすぐに旅客機に乗り込むわけではありません。

まず「ディスパッチルーム」に行きます。そこで、今日のフライトで一緒に仕事をする機長と副操縦士とが顔合わせをします。ただ顔を合わせるというだけでなく、やることがたくさんあります。会社の決まりごとというより、航空法で「出発前に必ず確認しなければならない」とされている6項目があるからです。

6項目の確認の中には、天気情報はもちろん、旅客機の整備状況や、離陸重量と着陸重量、重心位置や重量分布の確認が含まれています。危険な荷物を積んでいないか、燃料とオイルの品質や搭載量に問題がないか。機体の重心位置や重量分布、滑走路や誘導路の状況の確認もしなければなりません。

もちろん必要な燃料は積んでおかないといけないのですが、余分に積んでおくとその重量で燃費が悪くなるので、そのことも考えて、ちょうどいいくらいの燃料を搭載。6項目の確認を行った上で、その日のフライトのルートを決定し、「飛行計画書」を作って機長のサインを書き込みます。

ディスパッチルームで行う仕事はそこまで。ディスパッチルームを出て、今日のフライトを行う旅客機に向かいます。パイロットも旅客機に乗る前には、乗客と同じ保安検査を受けますが、空港によっては職員専用の検査場がないため、乗客と同じ検査場を通過することもあるそう。

飛行機に乗り込むとまず、機体の整備状況について航空整備士と打ち合わせ。旅客機の機体の状況を聞いて、燃料の搭載状況なども再確認。客室乗務員とも打ち合わせをします。その日の飛行ルートの特徴について説明し、客室でのサービスに影響が出ないようにします。

ルート上に旅客機が揺れそうな場所があったら、揺れが予想外にひどかった時どうするか。天候が不安定な日は、着陸できないほど目的地の天気が悪かったらどうするか。他にも、乗客が旅客機に乗り込んでくる前に、機長と客室乗務員で、話し合っておくことがたくさんあるのです。

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