ロシアの報復制裁で欧州便が遠回りになる!?

ここ数年、ウクライナ内戦やイスラム国問題、エボラ出血熱の流行など中東・ヨーロッパ・アフリカ北部などから伝わるきな臭いニュースには事欠きません。

ウクライナ政府軍と親ロシア派は2014年9月に停戦合意したものの、断続的な戦闘は行われている上、アメリカ主導のイスラム国への空爆は限定的で、国をまたいで移動している彼らに大きな打撃は与えられていないようです。エボラ出血熱に関しては、すでにアフリカ以外の地域でも感染者が見つかるなど、流行は拡大しつつあります。

このような状況で旅客機も問題が起きている地域を通過する路線を欠航・運休せざるを得なくなっています。例えばイギリスのブリティッシュエアウェイズは、ウクライナやイラク上空は回避、エボラ出血熱が発生しているリベリアやシエラレオネへの便は休止しています。

こうした問題は、日本の航空会社に影響がないように思えますが、ウクライナ問題に関してはそうとも言えません。欧米各国はウクライナ問題に対するロシアの対応を非難、経済制裁などを行っており、日本もそれに同調しています。

それに対し、ロシアも報復制裁を行っていますが、その報復の一環としてシベリア上空の飛行を許さなくなるという可能性があります。そうした場合、これまでシベリア上空を通っていた日本とヨーロッパの間の路線に対する打撃となります。

実は、ソ連解体前の冷戦時代にも同様の状況はありました。当時は旅客機の航続距離が現在ほど長くなかったため、日本からヨーロッパへ向かう旅客機は、一度アラスカのアンカレッジ空港に立ち寄って給油をしてから遠回りして目的地へ飛んでいたのです。ある年代以上の人は「アンカレッジ経由」という言葉に懐かしさを覚えるのではないでしょうか?

仮にロシアがシベリア上空を閉鎖した場合、このアラスカ上空を通過する航路が復活することも考えられます。もっとも、現在の旅客機は航続距離がのびているのでわざわざアンカレッジに立ち寄る必要はないのですが。

ということで、シベリア上空を飛ばなくてもヨーロッパ便自体がなくなるということはありえないのですが、しかし、アラスカ方面を回っていくのが遠回りであることは確かです。フライト時間は大幅に長くなり、その分燃油サーチャージも割高になるかもしれません。

問題は旅客機だけではなく、貨物便も影響を受けるということ。原油高や農作物の不作などの影響で物価高が止まらない現在、ヨーロッパからの航空輸送のコストが上がればさらに物が高くなるでしょう。

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