旅客機の完全無人化は実現可能か

オートパイロットは、正式にはAFCS(オートマチック・フライト・コントロール・システム)、自動飛行制御装置といいます。

APS(自動操縦装置)、INS(航法装置)、ATS(自動推力調整装置)、ILS(計器着陸装置)、ALS(自動着陸装置)を統合したシステムで、文字通りパイロットが操作しなくても、目的地まで自動で旅客機を操縦してくれるシステムです。

APS(自動操縦装置)は、飛行状態を計器類で把握し、機体の姿勢の傾きなどに応じて、操縦装置をコントロールします。

INS(航法装置)は、あらかじめプログラムされた飛行ルートの上を目的地まで誘導します。

ATS(自動推力調整装置)は、コクピットで速度セレクターをセットしておくと、自動的にスラストレバーを動かして、推力の調整を行ってくれるものです。微妙な推力のコントロールをコンピュータがやってくれるわけですからパイロットの負担は大幅に軽減されます。

ALS(自動着陸装置)は、自動着陸をサポートするものです。目的地の空港への進入から、滑走路への着地までコントロールしてくれます。

今後は、離陸のオートパイロット化も実現していくでしょう。

こんなにもいろいろと任せることができるのですから、いずれは全てをオートパイロットまかせにできるのではないかと思いますが、なかなかそうはいかないようです。

コンピュータが得意なのは入力されたデータやプログラムや、要するにあらかじめ入力された、予定された物事への対応です。予定されたルートの通りに飛行するようなことは、ルートの維持から、推力の微調整まで、実に正確に行ってくれます。

ですが、予想外のアクシデント、予期せぬ天候の急変などを事前に入力しておくことはできません。あらかじめ入力しておけないものについては、コンピュータは十分には対応できませんから、そういった状況に対応できるのは人間だけというわけです。

予定通りのことはコンピュータに担当してもらい、予期せぬアクシデントには人間が備えておいたり対応したりするほうがよさそうです。

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