JAXAが夢の超音速旅客機技術を研究している模様

人類史上初めて音速を超えた航空機は、アメリカの実験機・ベルX-1です。そして、そのパイロットが、『ストライクウィッチーズ』のシャーロット・E・イェーガー大尉のモデルである、チャック・イェーガー大尉でした。これは70年近く前、1947年のことです。

それ以来、たゆまぬ進歩を続けてきた航空機は、すでに音速の倍で飛ぶことができるようになっています。ただし、これは乗り心地や騒音など二の次の戦闘機の話。

民間のジェット旅客機で音速を超えた巡航速度を持っていたのは、コンコルドのみです。それ以外のジェット旅客機の巡航速度は、最新機のボーイング787もA380もマッハ0.8~0.85程度です。これは、60年以上前に開発された初めてのジェット旅客機・ボーイング707とほとんど変わりません。

あらゆる面で進歩した現在、なぜ旅客機の速度だけは変わらないのか?それは、どうしても解決できない問題があったからです。それが、音速を超えるときに発生する衝撃波「ソニックブーム」により発生する巨大な騒音。

コンコルドも、巡航速度自体はマッハを超えていたものの、騒音を解決できていなかったため、地上上空を飛行することができず、航路が洋上のみに限られたために音速飛行によるメリットも目減りし、また運用コストの高さから2003年には全ての機体が退役しています。

しかし、この騒音問題を解決できたらどうなるでしょうか?例えば、現在成田-ニューヨークは13時間ほどかかります。これを仮に現在の倍のマッハ1.6で飛ぶことができたならば、単純計算で6.5時間で行けることになります。旅客業のみならず、さまざまな面での恩恵は計り知れません。

その難しい問題に挑戦しているのが、JAXA=宇宙航空研究開発機構の航空技術部門です。現在JAXA航空技術部門では「D-SEND(低ソニックブーム設計概念実証)プロジェクト」による静粛超音速機技術の研究開発が行われています。

D-SENDでは、ソニックブームを低減させる機体の形状が研究されており、現行の超音速試験機「S3CM」は、同じく騒音を低減させることを目的にデザインされたリニア新幹線に導入される予定のL0系リニアモーターカーに翼を付けたような形状をしています。或いは、『ウルトラマンA』の防衛隊「TAC」の「タックファルコン」を洗練させたようなデザインであるとも言えます。

ちなみに、タックファルコンの最高速度はマッハ6.6だそうですが、現実世界ではその速度で飛べる航空機はまだ存在しません。2015年現在では、MiG-25のマッハ2.83が世界最速だとのこと。実はJAXAでは、D-SENDプロジェクトの他に「極超音速旅客機技術」の研究も行われています。

JAXAによれば、太平洋を2時間で横断できるマッハ5の旅客機の実現を目指しているとのこと。そのために現在研究開発されているのが「極超音速ターボジェットエンジン」です。今のところはまだ、小型の実験用エンジンでの地上実験を行っている段階ですが、それと平行して極超音速旅客機の模型に依る風洞実験も行われています。

こちらのプロジェクトによる極超音速旅客機のデザインはS3CMとは違い、小さな翼がついた細長い長方形の機体の機首を平べったくしているような形です。

これらの研究がいつか実を結び、日本が世界に冠たる航空機王国になることを期待したいと思います。

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