沖縄県がシンガポール・チャンギ国際空港と相互協力の覚書を締結
沖縄県の玄関口、那覇空港は、さすが国内有数の観光地だけあって国内線ターミナルは立派なものです。しかし、国内線ターミナルから徒歩5分ほどの国際線は対象的。まるで地方の駅のような、よく言えば簡素な、実際のところ貧弱なターミナルがあり、路線といえば台湾・韓国・中国の3カ国7都市のみです。
一方、シンガポールのチャンギ国際空港といえばアジアのハブ空港として躍進著しく、今非常に注目されている空港です。アジア地域での人の流れと物流の中心たらんと目論むチャンギ国際空港と、国内線を除くと単なる小さな地方空港である那覇空港、国際空港として見た場合、両者には規模も機能も大きな開きがあります。
ところが2014年。沖縄県はシンガポール・チャンギ空港と「シンガポールチャンギ空港及び沖縄県による航空ネットワーク強化に向けた相互協力に関する覚書」を締結しました。この覚書は、沖縄県とシンガポールの間で観光や貿易を促進するためにお互いに協力しあおうといった内容です。
具体的には、シンガポールの旅行社・航空会社への沖縄直行便及び、東南アジア各国、インド、オーストラリアからチャンギ空港を経由した観光客の誘致などが行われると同時に、航空物流も促進されます。
那覇空港で行われた覚書の締結は沖縄県の仲井間知事とチャンギ国際空港の黄文亮(Wong Woon-liong)シニアアドバイザーの間で取り交わされ、那覇空港ビルディング株式会社の花城順孝社長、沖縄観光コンベンションビューローの上原良会長が立会人となりました。
黄氏は、沖縄県はチャンギ国際空港にとって重要な地域の一つであり、シンガポール-沖縄間の直行便は今回の覚書締結の目的の一つだとして、まずチャーター便を就航させ、沖縄の認知が高まった後は直行便を就航させたいと語りました。
この覚書によって、まず全日空による貨物の直行便がすでに運行されており、那覇を起点として国産の魚介類・果物・野菜が運ばれています。
旅客機についてはチャンギ国際空港-那覇空港間のチャーター便の運行が開始されます。2014年9月から2015年1月までに14本のチャーター便が運航の予定。そのうち2便はオーストラリアのカンタス空港の子会社であるLCC・ジェットスター航空、12便はシンガポール航空の子会社・シルクエアーです。
シルクエアーはチャンギ国際空港を拠点として、東南アジア各国・インド・中国・オーストラリアへの便を就航してきましたが、日本への就航は今回の那覇便が初めてとなります。
これまで沖縄からシンガポールに行く場合は台北やインチョン、上海などを経由せねばならず、路線によっては成田まで北上してからシンガポールに向かうなどというものもあり、10時間以上かかっていました。今回のチャーター便就航により、それが5時間になります。
仲井間知事は、航空ネットワークの強化による観光客の増大と物流の促進に期待するとし、川上好久副知事は東南アジアの旅行者・ビジネスマンに沖縄を日本での活動拠点にしてほしいという希望を述べました。
また、文化観光スポーツ部観光振興課の山城憲一郎主査は、シンガポールからの観光客増大と、東南アジア各国、インド、オーストラリアまでの市場も開拓したいという目標を示しています。