機長が足りない、パイロットが足りない・・・!?

旅客機のパイロットといえば、華やかで格好良くて、子供たちには憧れの職業です。パイロットになりたい人は世界中にたくさんいますから、とても人手不足になるようには思えません。ところが「深刻なパイロット不足」で、運航中止になった会社があります。

ピーチ・アビエーションや、バニラエアなどの、LCC(格安航空会社)です。

LCCはサービスの簡素化、コストの徹底削減などによって、低価格の運賃を実現した航空会社。余分なサービスはいらない、旅客機内では人にかまわれることなく、静かに寝ていたいという人にとっては、メリットが大きい航空会社です。

ところが、LCCが簡素化しているのは、機内のサービスだけではありません。社員の待遇や労働条件も、LCCは簡素化しているのです。2014年5月、バニラエアが「機長不足」を理由に、154便を欠航すると発表しました。新規採用の機長の人数が足りなかった上、現役の機長が退職や病欠になり、欠航せざるをえないほど、機長が人手不足になってしまったのです。

一人のパイロットが機長になるまでには、厳しい訓練を何年も積み重ねなくてはなりません。どうしても年齢層は全体的に高めとなりますから、退職や病欠が話題に上りやすくなるのは、仕方のないところがあるのです。それに、年齢層が高いということは、機長としてフライトの経験をたくさん積んでいて、熟練した技術を持っているということ。他社がより良好な労働条件を提示すれば、そちらに行ってしまうことも多いのです。

2014年4月、今度はピーチ・アビエーションが「パイロット不足」を理由に、最大128便の減便を決めました。こちらも新規パイロットを採用しようにも、人が集まらなかったこと、やはり現役の機長の退職と病欠が原因だったようです。

それに、たとえ若い新規パイロットをたくさん採用できたとしても、「さっそく明日から、わが社の旅客機に乗り込んで操縦してください」とは、ならないのです。実際に担当する路線で実地訓練を受けたり、路線パイロットとして従事するまでに、多くの準備が必要となります。

もし新規の大量採用ができていたとしても、減便せずにすんだかどうか、微妙なところです。

一方、ジェットスター・ジャパンは、「関西国際空港の第2拠点化に合わせて増便する」と発表したのですが、必要な人員が集まらず、延期となってしまいました。

国内のパイロットは約6000人といわれてきましたが、2022年には約7000人が必要になるとの観測があります。1980年代のバブル期なら、航空会社がパイロットを大量採用したのですが、1990年代のバブル崩壊で採用が減り、新規採用をやめてしまう会社もありました。

2008年にリーマンショックが起きると、さらに採用は減っていきます。

その影響から、現役のパイロットの人数は、40歳代が一番多いのです。2030年になると、いっせいに定年を迎えるパイロットたちです。そうなると、現在の年齢が30~20代である、もともと人数の少ないパイロットしか残らない可能性があるのです。

それに、パイロットの人手不足の本当の原因は、「予期しない機長の病欠」であるいう説があります。パイロットは自己管理の厳しい職業で、健康チェックもきちんとされています。ですが、確率論として考えても、約6000人いるパイロットが、全員一人の例外もなしに、全くなんのケガも病気もしないとはいかないのです。

ところがもともと、LCCは採用しているパイロットの人数自体が少ない。誰かが急病で休んでしまうと、その人と交代してくれる人がいない。そこで運航をやめるしかない、となるのです。

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