ボーイングとエアバス、両社の対決の行方は・・・

昨年、日本航空が、フランスの航空会社エアバスから、旅客機を購入すると発表しました。日本航空がエアバスから機体を購入するのは、全くの初めてのこと。航空業界の一大ニュースでした。これまで日本航空が購入していたのは、もっぱらアメリカの航空会社ボーイング社の機体だったのです。

そこで使われている機材なども、当然、すべてボーイング社製。

世界で最も多くボーイング747(ジャンボ機)を保有している航空会社は、日本航空であると言われた時期もあるくらいなのです。もっともこれには、1980年代の日米貿易摩擦が関係しています。アメリカ製の航空機を、たくさん購入しなければならない事情があったようなのです。

今回、日本航空が購入することとなったエアバス機は、最新型のA350。1機の価格が、だいたい200億円くらいです。国内線・国際線ともに投入する予定で、合計で40機前後を購入するのではないかと推測されています。

また、新型機の導入となると、パイロットの訓練を改めて行う必要が出てきます。そのためには訓練用のシミュレーションの購入も必要になります。すべて考え合わせると、数千億円規模の投資となる見込みなのです。

さらに、今年に入ってから、日本の「旅行収支」が44年ぶりに黒字に転じました。旅行収支とは、訪日した外国人が国内で使う金額から、日本人が海外で支払った金額を差し引いた収支をいいます。日本人が海外に行き、そこで使ったお金より、外国人が訪日し、日本で使ってくれた金額が多かったのです。44年ぶりの黒字収支という報道から、航空業界は航空機需要の増加が見込めるだろうと期待しました。

これらのことがきっかけで、「2014年は、航空産業空前の受注競争の年」となったのです。

同じく今年、ANAが航空機70機を購入することになりました。ボーイング社製が40機と、エアバス社製が30機です。購入額は約1兆7000億円。発注した数、総額ともに、ANA始まって以来の最大規模の投資となります。ここには2013年、日本航空がエアバスに大量発注した影響があります。

ボーイングとしては、日本航空の注文を取れなかった分、ANAでたくさんの受注を取りたいのです。ANAとしても、ライバル同士の両社に発注すれば、両社がより有利な条件を提示してくれるだろうと期待できます。中でも両社が受注を争っていたのは、次世代の大型機でした。これには結局、「ボーイング777-9X」が選ばれました。

日本の政府専用機の後継機選びも、毎回、ボーイング・エアバスの両社とも参加しています。政府専用機は老朽化のため、十数年から二十年に一度くらいは、後継機を選定し、新しく購入しなければなりません。その選定のたびに、毎回、両社が最新鋭機を揃え、受注を争っています。

いちばん最新の選定は、2014年6月24日。

この日に防衛省が企業からの提案を締め切ったのですが、提案されたのは「ボーイング777-300ER」のみでした。おそらくこの機種に決定されるものと見込まれています。もちろんエアバス社も、最新型機「A350」の納入を意図していたのですが、なんらかの理由で、断念したようなのです。

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