誘導路を走行する場合も多くの注意点が・・・
コックピット内で離陸準備が終了している頃、客室内では客室乗務員が出発準備と点検を慌ただしく行っています。その内容を具体的に言うと、非常用設備の案内、シートベルト着用の確認、頭上の物入れが閉まっていることの確認、手荷物が所定の場所にあること、シートが倒れていないことの確認、そしてトイレの安全確認といったところです。
それらの確認が終わると、コックピットへ連絡を行い、今度こそ離陸前の準備が終わるのです。
ところで、自動車と異なり、飛行機はギアを介してエンジンがタイヤを動かしている訳ではありません。飛行機はジェットエンジンの推力によって前進するのであり、タイヤは回っているだけなのです。しかし滑走路へ行くために通る誘導路は、自動車道路顔負けの急なカーブがあるので、小回りが利く操向(ステアリング)装置が必須なのです。
飛行機の操向装置は、前輪を油圧で動かすもので、その角度は最大で70度もあり、急な誘導路のカーブにも対応できます。全長が12メートルぐらいの大型バスが、Uターンするには半径10メートルほど必要ですが、その大型バスの6倍の大きさであるボーイングB777‐300は半径56メートルぐらいでUターンが可能です。
車輪ブレーキは、方向舵ペダルを踏むと動きますが、ペダルを片方だけ踏む場合は、ブレーキはその車輪にだけかかる仕組みになっています。そのため、旋回する場合に内側の車輪ブレーキだけ使用し、さらに外側のエンジンの出力を上げるという技を使えば、より小さい半径で旋回が可能になります。