破綻したスカイマークはおいしい投資先!?

航空会社のスカイマークが2015年1月に経営破たんしましたが、このような窮状の中でもANAなどの航空会社をはじめとして業界外からも多数の会社が支援に名乗りを上げています。

なぜスカイマークの再生はこんなにも引く手あまたなのでしょうか?

スカイマークは、1990年代に国が進めた航空自由化により設立されたLCCのさきがけのような会社。1996年に事業を開始した同社はシンプルなサービスと低運賃を武器に順調に業績を伸ばし、2012年には77億円の純利益を上げるまでの会社に成長しました。

しかし他のLCCが本格的に参入し、スカイマークが重点的に飛ばしていた羽田-札幌・福岡などのドル箱路線にLCCが成田発着便を投入してきたことで競争が激化。

そのような中、超大型旅客機エアバスA380による本格的な国際線進出についての事業計画を立案しましたが、燃料費の高騰や急激な円安等が業績を圧迫、計画していたA380導入も頓挫せざるを得なくなり、ついには民事再生法の適用を申請するに至ったのです。

民事再生法では裁判所の管理下で新しい出資者を探すことになるのですが、スカイマークに対しては多くの企業が支援に名乗りを上げている実態があります。

国内大手のANAや、マレーシアのLCCであるエアアジアといった航空会社をはじめとして、もともと同社の設立母体であった旅行代理店のエイチ・アイ・エス、その他にも金融大手のオリックスや新生銀行、商社の双日やタクシー会社の日本交通など多岐にわたっています。

多くの出資者が手を上げる理由は、スカイマークがドル箱である羽田空港発着枠を持っているため。ANAが同社をグループ化すれば、共同運航という形態をとることにより羽田発着便の座席を自動的に獲得することができます。

また、同業者でありながら羽田発着枠を持っていないエアアジアも同様にのどから手が出るほど手に入れたいものです。

国内線を就航する航空会社には外国資本についての制約などがあるため、外資の航空会社にとっては共同運航で参入するのが最も有益な方法だからです。

その他異業種の会社についても、スカイマークが持つ羽田発着枠をうまく活用すれば再生可能と判断し、支援を申し出ているものと思われます。

しかしながら、こんなに多くの会社が出資価値があると考えるほどの会社であれば、倒産することなく自力再建できたのではないかという気もします。

本来、再生できるかもしれなかった企業が倒産してしまい、倒産後に支援者が殺到するという不可解な状況が起こっているわけですが、一部の市場関係者は日本の資本市場は適正に機能していないのではと、疑問視しているようです。

もともと大手二社に独占されていた航空業界の門戸を開放するための航空自由化策でしたが、その自由化で設立されたスカイマーク、エアドゥ、ソラシドエア、スターフライヤーの全てが今やANAの出資を受け、コードシェアをしている状況。

まだまだ既得権益も多く残る航空業界の中で、スカイマークをはじめとする新興航空会社4社とLCCが生き残り、大手2社に対する競争環境を築くことができるかによって、私たち利用者の利便性に大きな差が出てくることになりそうです。

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