「旅客機の座席」はどこが一番安全か?

昨年、イギリスのテレビ局「チャンネル4」が大型旅客機の墜落実験を行い、話題になりました。

人形だけを搭載したジャンボ機を遠隔操作し、パイロットは墜落直前に脱出させ、人形と機体だけをメキシコの砂漠に墜落させるという、大胆な実験です。

実験の結果、飛行機の前方11列目までの生存率は絶望的でした。これは、ファーストクラスやビジネスクラスが設置されている場所です。それよりもっと後ろの座席では、78%の人に生存の可能性がありました。

こういった違いが出るのは、接地時の衝撃が、飛行機の前方で12G、後方では6Gくらいだからです。もっとも、これはたった1つの機種で、たった1度の墜落を試しただけです。他のどんな飛行機でも、どんな状況の墜落状況でもこうなるかというと、そうは言い切れないところがあります。

雑誌『ポピュラー・メカニクス』の2007年の調査では、後部座席ほど安全性が高いと書かれています。

同紙で、1971年以降のすべての飛行機事故の座席別生存率を調べたからです。主翼より前の座席だと、生存率は49%。翼の上は56%、翼より後ろは69%とされています。ところが航空会社では、どの座席も同じという見解です。ボーイング社は「どの座席も安全性は同じ」エアバス社も「最も安全な座席は、墜落しない飛行機の座席です」

テレビの会社、雑誌の会社、航空会社とも、すべて違う調査や実験にもとづいて、見解を示しています。三社の「旅客機の安全性を確認するための実験方法」には共通点がないので、見解が大きく分かれてしまうのは、仕方がないのかもしれません。

ところで、この三つの会社とは全く違う視点から、行われた調査があります。

調査を行ったのは会社ではなく、大学でした。イギリスのグリニッヂ大学で、世界の飛行機事故105件と「旅客機の非常口」との関連を調べたのです。データを分析したところ、「非常口から6列以上離れると、生存率が落ちている」という規則性が見つかりました。

ところが、実は旅客機の座席そのものが、「非常に事故に遭遇しにくい座席」なのです。

飛行機事故で死亡する確率は470万分の1。470万日間、毎日一回、一日も休まずに飛行機に乗ったとしたら、一回くらいは事故に遭うかもしれない?という確率なのです。

チャンネル4の実験でも、座席の位置うんぬんよりも、

「シートベルトをきちんと身につけている」
「墜落時、航空会社が推奨する姿勢に従っている」

この2つをやっておくことが、非常時に効果的であると結論づけています。シートベルトや、不時着のときに指示される頭を抱える姿勢など、航空会社が追求してきたさまざまな安全対策は、充分に研究され、効果も高いものといえるでしょう。

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