補助エンジンは隠れた英雄!?
空港に駐機している旅客機のおしり部分から、排気ガスのような煙が出ていることがある。
別に機内で何かが燃えている訳ではなく、これは「補助動力装置」APU(オーグジュアリ ・パワー・ユニット)と呼ばれている小型エンジンから出る排気ガスなのだ。
それではなぜ旅客機には超強力なエンジンが付いているのに、小型のエンジンなどが必要なのかと思われるだろうが、この小型エンジンの力を借りなければ、大型エンジンを始動させることができないのだ。
旅客機に付いている大型エンジンは、空中を高速で飛ぶことによって、大量の空気を吸い込むことで稼働しており、地上で停止状態からエンジンを始動させることが、自力ではできない。
そのため、補助動力装置が圧縮空気を作り、大型エンジンを始動させなければならないのだ。
この小型補助エンジンの助けを借りることで、ターボファン・エンジンも本来の力を発揮できる。
この補助動力装置は、メインエンジンの始動を助けるだけでなく、機内照明に始まり、操縦装置や計器類、果ては機内の空調や油圧ポンプの駆動に必要な電力供給も兼ねており、正に縁の下の力持ち的存在なのだ。
では、この補助動力装置自体の始動はどうしているのだろうか。
答えは、小型エンジンのため、自動車同様バッテリーによるセルスタートが可能で、この点においてはメインエンジンとは違い、自立したエンジンと言えるだろう。