イラン経済制裁解除で始まる航空業界の仁義なきビジネス戦争
スホーイというと、ソ連時代から続くロシアの戦闘機メーカーで、私は戦闘機ばかり作っている会社だと思っていましたが、民用機も作っていると知ってびっくり!そのスホーイの民用旅客機が「スホーイスーパージエット」。といっても米露の共同開発とのことですが・・・。
ロシアが今、そのスホーイスーパージエット100を売りつけようとやっきになっているのがイラン。イランに対しては、核開発疑惑を理由に日本を含めた数カ国が経済制裁を行っていました。といっても、この経済制裁は形式的にはイランvs多国籍ということではなく、それぞれの国がイランに対して制裁を行っているということになっています。
それが最近、今後制裁を行っている各国がそれぞれ段階的に制裁解除を行っていくことが決定。
イランへの経済制裁が解除された場合、二つの流れが生まれます。一つはイランが生産する原油が各国に輸出されるようになるというもの。これにより現在下げ止りしている原油価格がさらに下がるという見方をしている人もいます。また、イラン周辺の緊張が緩めばホルムズ海峡が安定化し、他の中東各国からの輸送も増加します。
もう一つはイランに対する輸出増加という流れ。その輸出増加の流れをつかまえたいのがロシア。
イラン国内で使われている旅客機は経済制裁の影響で更新できず、老朽化が進んでいました。そのためイランでは航空機の事故が頻発。25年の間に2,000人以上の方が航空事故を原因として亡くなっています。
ロシアとしては、航空機買い替え需要がピークに至っている今をとらえ、航空機販売のシェアを伸ばしたいというところ。実のところロシアは、2012年ごろから経済制裁の強化に反対してきました。それは、解除後に先んじて商売をするという目論見があったからかもしれません。
ただ、経済制裁は解除が決まったとはいうもののまだ始まってはいません。現時点でイラクに商売を持ちかけるのはいわば「フライング」。ロシアのフライングに不快感を示しているのがフランスのエアバス社。ボーイング社に追随しようと必死なエアバス社にとっては、スホーイは目の上のたんこぶといったところでしょう。
制裁が解除される2016年から、ボーイング、エアバス、スホーイの三つ巴の戦いが開始されます。