成田空港、満を持してのLCC専用ターミナルを開業

2010年に羽田空港が最国際化してからというものの、首都圏住民が海外旅行へ行くときは当然のごとく羽田を利用するようになり、海外からのお客さん、特にビジネスマンも日本到着後の国内線への乗り換えのしやすさから羽田を利用するようになっていきました。

それに伴い、海外の航空各社も羽田乗り入れが増えています。

ということは、羽田最国際化の当初の懸念通り、成田空港が凋落するということです。そもそも成田空港が建設されたのは、戦後まもない時点で混雑していた羽田空港の輸送量を、新空港に振り分けるためでした。

第4滑走路ができて羽田が最国際化した今でも、羽田だけで首都圏への輸送量をまかなえるわけではないので、実は成田空港はいまだ必要な空港なのです。

とはいえそれは業界の方々の都合。利用者が忖度すべきことではなく、便利なほうが選ばれるのは理の当然です。

○成田空港を救ったLCCの登場

凋落しつつあった成田空港を救った救世主がローコストキャリア=LCCでした。

まず2012年7月に、ジェットスター・ジャパンが成田空港をハブとして新千歳、関空、那覇それぞれのへの国内線を就航、同年8月にはエアアジア・ジャパン(現バニラエア)も新千歳、福岡、那覇への便を就航。

ジェットスター・ジャパンは国内線専門でしたが、エアアジア・ジャパンは2012年には韓国、2013年には台湾への国際線も就航させています。

成田空港は、LCC就航に合わせ第2旅客ターミナル脇にプレハブ安普請のLCC用暫定施設を建設してLCC客の受け入れを始めました。現在この暫定施設は、ジェットスター・ジャパン、バニラエア、春秋航空日本が使っています。

成田空港はLCC用暫定施設開設と同時にLCC専用となる第3旅客ターミナルの建設も開始。第2旅客ターミナルと隣接した第3旅客ターミナルは2015年4月より運用が開始され、ジェットスター・ジャパン、バニラエア、春秋航空日本がそのまま移ることになります。

○成田空港の旅客ターミナルについて

ところで、LCC以外で成田空港を利用するときには第1旅客ターミナルか第2旅客ターミナルどちらかに行ってチェックインをしなければなりません。実はどちらに行くかはきちんとした基準があるのですがご存知でしたでしょうか?

その基準は航空連合の違いによります。航空連合とは、航空会社が加盟する組織のことであり、同じ航空連合に加盟している会社でコードシェア便(違う会社が同じ便を共同で運航するもの)やマイレージの共有などをしています。

わかりやすく言うと、Tポイントカードを持っていればツタヤでもマルエツでもTポイントを貰えるのと同じようなことです。

航空連合は現在スターアライアンス、ワンワールド、スカイチームの3つがあります。

第1旅客ターミナルはスターアライアンス加盟会社が主に使います。スターアライアンスは世界初・世界最大の航空連合で、日本の航空会社では全日空、他にユナイテッド航空やルフトハンザドイツ航空が加盟しています。

一方第2旅客ターミナルは主にワンワールド加盟会社が使っています。ワンワールドには日本の航空会社では日本航空、他にアメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、キャセイパシフィック航空などがあります。

ただこれは絶対的なものではなくて、もう一つのスカイチームに加盟しているデルタ航空は第1旅客ターミナル、チャイナエアラインは第2旅客ターミナルを使っています。

自分が使う航空会社がどこの航空連合に加盟しているか知っていると、移動がスムーズかもしれません。

○第3旅客ターミナルの問題

さて、LCC需要を当て込んで、専用の第3旅客ターミナルを建設しだしたのはいいのですが、降って湧いたようなある問題が起こりました。それは「ウォシュレット問題」です。

改修を重ねてきたとはいえ、第1旅客ターミナルは1978年、第2旅客ターミナルは1992年に運用が始まった施設でウォシュレットが装備されていません。

「後からつければいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、ウォシュレットの洗浄水を使うためには上水道が必要であり、そして、ウォシュレットを使う想定をしていなかった第1・第2旅客ターミナルともに、便座の位置まで引いているのは中水道、つまり雨水や生活排水を処理した、人体に触れないことが前提の水が流れる水道だったのです。

改めて上水道を引くというのは、後から継ぎ足してくっつけるというわけにはいかないレベルのものです。完備するためには数年という時間が必要となります。

ということで、第3旅客ターミナルにウォシュレットを導入しようと検討された時に、「第1・第2旅客ターミナルにはウォシュレットがないのに第3にはつけるのか」と言い出した人がいました。成田空港会社でちょっとした議論になったとのこと。

まあ確かにウォシュレットが絶対的に必要な設備かというとそういうわけではありません。とはいえ、いまやウォシュレットというのは訪日外国人が日本の先進性を語るときの定番ネタとも言えるもの。

たとえLCC専用ターミナルといえども多数の外国からのお客さんを迎える空港でいまどきウォシュレットがないのはどうかということになり、結局変な悪平等を捨ててウォシュレットは完備されることとなったようです。

○施設利用料問題

旅客が飛行機に乗るためには「運賃」である航空券の代金の他に、いわゆる「空港使用料」或いは「空港税」を支払う必要があります。これは空港によって名称が違い、例えば羽田では「旅客取扱施設利用料」成田では「旅客サービス施設使用料」及び「旅客保安サービス料」と呼ばれています。

「旅客サービス施設使用料」「旅客保安サービス料」について成田国際空港株式会社は「この料金はターミナルビル内共用スペースの維持管理、お客様ご案内、保安維持等、お客様に快適かつ安心して成田空港をご利用いただくための費用に充てさせていただきます。」と説明しています。

成田空港の利用料は世界的に見ても高いという悪評があります。そして、それが「アジアのハブ空港」の地位を他国に奪われている一因であるとも言われています。

成田国際空港株式会社は2014年、それまで国際線利用者からのみ徴収していた利用料を、LCCも含む国内線利用者からも徴収すると発表しました。

現在、第1・第2旅客ターミナルの利用料は、国際線は「旅客サービス施設使用料」と「旅客保安サービス料」を合計して2610円(大人料金)、国内線は「旅客サービス施設使用料」のみで440円です。

「ローコスト」が売りのLCCにとっては利用客の負担が増えることは喜ばしいことではなく、LCC側も成田国際空港株式会社側に高いと文句を言っていたようです。

その結果、LCC専用となる第3旅客ターミナルでは利用料が減らされることになりました。第3旅客ターミナル利用の場合は国際線は合計1540円、国内線は380円となっています。

ただし、国際線の場合到着便では利用料は徴収されませんた、国内線の場合は到着便でも徴収されます。つまり、国内線で往復した場合は760円です。

○第3旅客ターミナルは成田空港を救うか?

見たところ、成田国際空港株式会社もLCC効果で利用者を増やすためにそれなりの努力をしている様子。

第3旅客ターミナルが現在の位置に決まったのは、鉄道駅に近いからであり、旅客をできるだけ歩かせないために第2旅客ターミナルからのシャトルバスも運行するとのことです。

とはいえ、ピーチ・アビエーションが羽田に乗り入れて台北便を就航することを発表したり、また東京オリンピックに備えて羽田に5本目の滑走路建設が浮上するなど、LCC専用ターミナルができたからといって成田もうかうかしていられません。

仮に羽田へのLCC乗り入れが増えれば、東京・神奈川・埼玉周辺の住民は交通費が安くなる羽田を選ぶのが必至。

これは成田だけではなく国の側もきちんと考えるべきとは思いますが「成田でなければならない何か」が必要になっているのではないでしょうか?

関連記事

おすすめ記事

ページ上部へ戻る